| お答えします |
永徳 紀男(えいとく・のりお)さん
第一工業大学工学部電子工学科客員教授 |
−人体に流れる弱い電気利用−
私たちの身の回りにある電化製品(でんかせいひん)(電灯やテレビなど)には、オン(付く)、オフ(消える)のスイッチが付いているよね。電気の力で物を動かしたり、電灯を光らせたりするには電気の流れ、電流(でんりゅう)が届くことが必要だ。水道から水が流れるように、電流は電気コードの中を通っていて、その流れを止めたりつなげたりするのがスイッチなんだ。電気コードはホース、スイッチは水道の蛇口(じゃぐち)のような働(はたら)きをしているんだよ。
普通はそのスイッチのボタンを動かして、電気を付けたり消したりするけれど、タッチスイッチには触(さわ)るだけでいいのはなぜだろう。それは基本的には、人間の体に水分が含(ふく)まれているので電気が通る仕組(しく)みを利用しているんだよ。そういうとびっくりするけれど、ほんの少しの電流なので私たちはほとんど気付かないんだ。雷(かみなり)のように強い電気の流れを直接(ちょくせつ)手で触るととても危ないね。だからスイッチなどで危なくないようにしているんだよ。
私たちの暮らす部屋の中には、たくさんの「電気雑音(でんきざつおん)」があるんだ。これは蛍光灯(けいこうとう)、テレビ、コンセントなどに張(は)りめぐらされている電気コードから出ていて、ラジオなどの雑音の原因(げんいん)になる弱い電気なんだよ。でも、普通に生活していると目に見えないし、音も聞こえないので私たちはいつもは気付かないんだよ。この電気雑音を使って作られたのが、タッチセンサーというタッチスイッチのもとになる仕組みなんだ。
積み木でいろんな形のお家が作れるように、タッチセンサーも電子回路[でんしかいろ)(電気を使って物を動かす機械(きかい)]を組み合わせていろんな形で作られている。ここでは、もっとも多く使われている仕組みを説明しよう。まず最初に、タッチセンサーには「タッチ電極(でんきょく)」という、人が手で触るところがあるんだ。ここで、水分を含む人間の手を通して電気雑音を集めるんだ! でも、そのままの電気雑音の電気の力はとても弱いので、「増幅回路(ぞうふくかいろ)」という機械につないで、電気の力を大きくする。(マイクをスピーカーにつないで音を大きくする仕組みに似ているね)
それから「検波回路(けんぱかいろ)」という機械につないで、電気雑音を電気を付けたり消したりする信号(しんごう)に変える。これは、銃(じゅう)の引き金(がね)を引くと玉が出るのに例えて「引き金信号」といわれている。この信号が「制御回路(せいぎょかいろ)」という機械に送られて、次の信号が来るまで電気が流れるように保つはたらきをしている。そしてこのとき、リレーと呼ばれる「電磁石(でんじしゃく)スイッチ」がオンになるんだよ。この電磁石スイッチがオンの間は、ずっと電灯がついたままになるんだ。その後、タッチセンサーに触ると、もう一度、引き金信号が送られて電気の流れが止まるので、電磁石スイッチがオフになり電灯が消えるんだ。その繰(く)り返(かえ)しで電灯がついたり消えたりするんだね。
スイッチにはタッチセンサーのほかにも、音や熱を使った物も作られているよ。懐中電灯(かいちゅうでんとう)など、簡単な組み立てキットを使って自分で作ってみると面白(おもしろ)いよ。[ただし、家の電化製品などを分解(ぶんかい)するのは本当に危険なので、絶対にやめようね]。 |