| お答えします |
千鹿野 茂(ちかの・しげる)さん
日本家紋研究会会長(東京都江東区) |
−2万5000種、丸形多い−
悠馬君の名字は「田代」ですね。これは、自分の家のことを文字で表したもの。これに対して、家のことを図柄(ずがら)で表したものが「家紋」です。
家紋は今から1200年ほど前、平安時代に初めて用いられたといわれています。当時は、高貴(こうき)な人たちが牛車(ぎゅうしゃ)や装飾品(そうしょくひん)などの持ち物に付けるマークとして使っていました。家紋というより、個人のシンボルという意味合いが強かったようです。
それから徐々に認知度(にんちど)は高まり、個人のシンボルだったマークは家紋として定着(ていちゃく)します。戦国時代には武将たちが敵味方を区別するために用い、明治時代に入ると、庶民(しょみん)の間でも使用が許されるようになりました。その種類は、今では2万5000種を数えます。
形は、一般的に丸形が一番多く描かれています。描かれたもの、そのままの形をした家紋もあります。図柄は、菊や松など花・草木の植物紋、猿や鶴をデザインした動物紋、月や山、星などを描いた自然現象紋などに分類(ぶんるい)されます。西洋の家紋に相当する紋章(もんしょう)(エンブレム)が、獅子(しし)や龍(りゅう)、鷲(わし)など、権力や武力を示すものが多いのとは対照的に、日本の家紋は花鳥風月(かちょうふうげつ)や身の回りの器物など、優しいデザインが多いのが特徴(とくちょう)です。鹿児島県といえば、丸に十文字を描いた島津家の家紋が有名なのではないでしょうか。
悠馬君の家の家紋も見せてもらいました。「五つ木瓜(もっこう)」ですね。これは、植物の瓜(うり)とは関係なくて、あて字として用いられたものです。もともとは、中国から日本に仏教とともに伝来した文様で、それが後に家紋となったようです。
家紋は古代から伝わる素晴らしい文化です。のちの世まで正しく伝えていきたいですね。 |