| お答えします |
川村 軍蔵(かわむら・ぐんぞう)さん
(鹿児島大学水産学部教授) |
−エラで水中酸素取り入れ−
動物が呼吸をするのは、酸素を体内に取り込(こ)むためです。人間は口と鼻から吸った空気を肺まで送り、肺の壁(かべ)にある非常に細い血管の中に酸素を取り込みます。これを「空気呼吸」といっています。魚は口から吸った水をエラに送り、水に溶け込んだ酸素をエラの表面の細い血管に取り入れます。これを「水呼吸」といいます。魚のエラは人間の肺と同じはたらきをしているのです。
魚はエラぶたとよばれるほおの部分を広げて口から水を吸い込みます。エラぶたを十分動かせないために水をうまく吸い込めない魚は、口を開けたまま前進することによって水を吸い込みます。このような魚がマグロです。マグロは泳ぎを止めると呼吸ができなくなるので、泳ぎ続けています。
世界の魚の種類は約1万5000といわれ、それぞれ違った生活をしています。実は、それらの中に空気呼吸をする魚もいるのです。
ドジョウはときおり水面に出てきてオナラをするといわれますが、これは水面に出て腸で空気呼吸をしているのです。干潟(ひがた)を跳び回るトビハゼという魚は、エラで水呼吸をしますが、皮ふからの空気呼吸もします。ウナギも同様に皮ふ呼吸をしますので、陸上をはって移動できるのです。肺魚は、鰾(うきぶくろ)が肺と同じようなはたらきをする、代表的な空気呼吸魚です。この魚は「生きた化石」といわれてカエルに近く、すんでいるところの水が干(ひ)上がると地中にもぐって空気呼吸をして、雨が降るのを待ちます。
エラ呼吸と皮ふ呼吸の両方できる魚は水中と地上で生活できて優(すぐ)れた動物のようですが、人間の空気呼吸の方が酸素を取り込みやすいのです。人間も皮ふ呼吸をできれば水中で便利なのですが、残念ながらできません。 |