| お答えします |
大木 公彦(おおき・きみひこ)さん
鹿児島大学総合研究博物館館長・教授(地質学) |
−砂や泥に覆われ1万年−
松田くんの質問にうれしくなってしまいました。それは、これまでに「ぼくにも作れますか」と考えた人に会ったことがなかったからです。
まず化石が何かを知っておきましょう。地球が誕生(たんじょう)してからこれまでに生物の死体が陸の上や海の底に横たわり、砂や泥に覆(おお)われて埋(う)もれ保存されたものを化石と呼んでいます。そうであれば、松田くんが生物の死体を土に埋めて、その死骸(しがい)を数万年後にだれかが掘(ほ)り出せば化石ということになりますね。でも、松田くんが数年や数十年後に掘り出しても、おそらく化石とは呼ばれないでしょう。多くの学者は最後の氷河期(ひょうがき)にあたる約1万年より古い生物の死体について化石と呼んでいるようです。ということは、松田君は、化石を作れるかもしれませんが、生きている間にそれを見ることはできないことになりますね。
生物には硬(かた)い部分と軟(やわ)らかい部分があります。骨や殻(から)などは化石になりやすいのですが、肉体部はほかの生物に食べられ、バクテリアによって分解されて化石になることはほとんどありません。でも奇跡(きせき)的に化石になることがあります。たとえばシベリアの永久凍土(とうど)の中から発見されたマンモス、松やにの固まった琥珀(こはく)に閉じ込められ体液(たいえき)が残っている昆虫(こんちゅう)などです。
さいごに、生物が化石になることはほとんどないというお話をしましょう。まわりを見ると多くの犬や猫がいて、空には鳥が飛んでいますが死骸を見ることはまずありませんね。海水浴で海の底を見たときにも魚やカニの死骸はまずありません。動物はおいしいので、弱るとすぐにほかの動物に食べられてしまうのです。だから動物が死んだらすぐに泥や砂に覆われなければ化石にはならないのです。化石になる、そして人の目にふれることは奇跡といってよいのです。ぜひ、生物の進化を教えてくれる化石を、地層(ちそう)から見つけ、手にとってみてください。
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