2016/11/15 本紙掲載 

「新聞」感想文コンクール

第16回「新聞」感想文コンクール(南日本新聞社、南日本新聞南日会主催)に、鹿児島県内185校から2525点の作品が寄せられた。新聞記事を身近な問題に引き付け、共に悩み、考えようとする子どもたちの姿勢が目立った。新聞へのこだわりや熱意が感じられる作品に贈る南日会特別賞や、小・中・高7部門の1席の作品を紹介する。表彰式は11月23日午前11時、鹿児島市の南日本新聞会館である。

審査総評

新たな世界の扉開く

鹿児島県教育委員会義務教育課指導主事 富田 好昭氏

第16回「新聞」感想文コンクールに2500点あまりの作品が寄せられた。審査を通して、県内の小学生、中学生、高校生の素朴な疑問、新鮮で素直なものの見方・考え方に触れることができた。また、子供たちが新聞の隅々まで気を配り、情報をしっかり享受する姿には驚かされた。
 本年度の応募作品の特徴として4年に一度のスポーツの祭典オリンピックや、4月に発生した熊本地震、7月に起こった「津久井やまゆり園」での悲惨な事件を題材に取り上げたものが数多く見られた。世界平和の在り方や地域社会の中で、今自分にできることを考え提案したり、共に生きる社会とは、傍観者ではなく、共に悩み考えながらよりよい社会の在り方についてのシステムを構築していくことを提案したりするなど、素直で純粋なまなざしが感じられた。また、読者欄への投稿を通して他の読者との交流や、新聞を通して一日が始まる温かい家族の交流を描いた作品にも出合うことができた。
 応募してきた子供たちにとって新聞とは、課題発見の場である。その課題を調べる方法を家族と共に工夫するなど、課題解決の学習がしっかりと構成されていることも大変印象的であった。
 これからの社会を生き抜く子供たちにとって、学習指導要領が求める「自分の課題について調べ、意見を記述した文章や、活動を報告した文章を書いたり編集したりする」姿がまさにそこにあった。新聞の一情報から判断することなく、実際に問題の地を訪れたり、関連する書籍や資料を集めたりして、複数の観点から思考し、判断し、表現している姿が垣間見える。そういった活動の裏側に、保護者が、試行錯誤する子供に問いかけ、内容を吟味させたり、活動を支援したりするなど子供の学びを上手にサポートしていた。
 新聞を通して、子供たちの身近な生活場面から、政治、社会、環境、スポーツ、地域社会や世界全体といった外の世界への扉が開かれている。また、先人や祖父母の歩み、自分の今後の生き方など時間的な扉も開放している。その新たな世界の中で、見たことや考えたことを相手に分かりやすく、自分なりの表現で文章に書き表す姿に感動を覚える。
 今後、学校で学んだ力を、実生活の中でどのように生かしていくかがますます問われる時代がやってくる。そのような意味からも、記事の先にいる新たな世界の人々の思いに気付き、自ら考え、行動する本コンクールへ挑戦する機会を大切にしていただきたい。