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特別賞・南日本新聞社賞
※タイトルは本人の字を使用しています

 いい まりな  鹿大付属小1年 


うしとおとうさんのて

「まりな、ちゅうしゃにいくけど、いっしょにいくか。」
ふゆ休みのさむい日、おとうさんがいいました。わたしは、すぐに
「うん、いく、いく。」と、へんじをしました。
 わたしのおとうさんは、うしのおいしゃさんです。まえは、うしのびょうきをなおすしごとをしていました。いまは、いいあかちゃんうしをうむために、おかあさんうしをたすけるしごとをしています。そして、ときどきそのおかあさんうしにちゅうしゃをうちにいきます。休みの日には、わたしとおとうともいっしょにつれていってくれます。
 大きなうしでもちゅうしゃがこわいのか、あばれることがあります。そのうしをささえるおとうさんのうでは、わたしのおなかぐらいふとくて、ごつごつしています。
「きょうのうしさんは、あばれなきゃいいな。」
わたしはながぐつにはきかえ、おとうさんについていきました。
「うしのうしろにまわったらいけないよ。うしの足でけられたら、おとうさんでもつぶされちゃうからね。」
わたしとおとうとは、すぐにうしのまえにまわりました。
 おとうさんは、ちゅうしゃのじゅんびをはじめました。うしのちゅうしゃきは、わたしのうでぐらいの大きさで、はりはえんぴつぐらいのながさがあります。いままでこわかったうしが、なんだかかわいそうになってきました。だって、わたしもちゅうしゃが大きらいだからです。すぐにおわるよ、うしさん、がんばってと、こころの中でおうえんしました。
「いくぞ。おさえているからね。」
おとうさんは、うしのせ中を左手でぎゅっとささえ、右手で大きなちゅうしゃきをいっきにさしました。そのとき、うしの目からなみだが出ているように見えました。お父さんは、うしのかおをなでながら、
「ようし、ようし。」
と、子どもにいうようにはなしかけています。すると、うしはわらっているように見えます。
「まりな、えさをあげてみるか。」
おとうさんが、わたしのてにくさをわたしました。わたしは、そうっとうしにちかづき、口に入れてあげました。いままでこわかったうしが、とてもかわいく見えて、
「えらかったね。」
と、やわらかいはなをさわると、
「モー。」
と、うしもうれしそうにへんじをしました。
 うしは、おとうさんのうででせ中をささえられると、あんしんするのでしょう。おとうさんのことが大すきなのでしょう。だから、あんなに大きなちゅうしゃも、こわがらずにうけることができるのだとおもいます。おとうさんは、うしのきもちがわかるおいしゃさんです。わたしは、おとうさんのごつごつしているけれど、あたたかいてをにぎってかえりました。
 【評】うしにたいするやさしいこころと、おとうさんをほこりにおもう気もちが、おとうさんのしごとぶりをとおして、じょうずにかきあらわされています。
 まりなさんは、はじめうしをこわいとおもいましたが、見ているうちにかわいそうになり、がんばれと、こころの中でおうえんします。やさしいこころです。また、うしの目から、なみだがでているように見えたり、はなしかけると、わらっているように見えたり、なきごえが、うれしそうなへんじにきこえたりします。うしのようすをよく見て、うしのこころをするどくかんじとっています。
 おとうさんの手は、あたたかいまほうのような手ですね。
 ととのったもじで、きれいにしあげています。なにより、力をぬいたかきぶりがよいとおもいました。
全国国語教育実践研究会幹事、さみどり学園理事長代理・北園安夫





 北村 かずゆき  鹿児島市田上小2年 


これからもライバルだよ
 ぼくのライバルは、北村なおゆき。五年生。おにいちゃんは何でもできるスーパーマンで、頭もいいです。かけっこは一番で、じきゅう走大会は、学年で三番。こんなにできのいいおにいちゃんをもつと、弟のぼくとしてはつらいのです。だって、ぼくはかけっこが四番で、じきゅう走大会は、大会前にねんざをして、本番は記ろくなしだったのです。
「来年がんばればいいよ。」
やさしい言ばをまっていたのに、おにいちゃんから言われた言ばは、
「何やってんだ。」
で、ますますはらがたちます。おにいちゃんは、たしかにすごいけど、それをみとめたくないのは、このいやな言い方のせいです。
「一つでもいいからかちたい。」そう思って、大すきなサッカーでしょうぶすることにしました。おにいちゃんは、サッカーもうまくてチームのレギュラーです。ドリブルたいけつをしても、かないません。「どうすればかてるかな。」
 そんなぼくをおうえんしてくれたのが「小野しん二」の本です。
「今日はまけたけど、つぎにかならずかつためにれんしゅうする。」
このしん二の言ばが、ぼくにやる気をくれました。そしてぼくのひみつとっくんがスタートしました。
 ぼくは、あい手をまどわすシザースフェイントにちょうせんしました。ドリブルたいけつでおにいちゃんをぬきたいのです。でも、何どれんしゅうしてもうまくいきません。「才のうないのかな。」くらい気もちで家に帰ると、お母さんがいいことを教えてくれました。
「おにいちゃんも、はじめはへただったよ。でも、あきらめないで毎日れんしゅうをしていたよ。」
 それを聞いてから、朝もよるも時間を見つけてれんしゅうしました。おにいちゃんが目の前にいることをそうぞうして、ボールをけります。そのうち、ステップが少しずつはやくできるようになり、とっくんも楽しくなってきました。
「しょうぶだ。」
おにいちゃんにドリブルたいけつをもうしこみました。「今どは、ぜったいかつぞ。」と思って、ボールをけりはじめました。
「右、左、右、左。やったあ。」
シザースフェイントでおにいちゃんをぬいたのです。でも、どうせおにいちゃんのことだからほめてくれないだろうと思っていたら、い外な言ばがかえってきました。
「かずゆき、うまくなったな。」
おにいちゃんにほめられたのです。うれしくてとび上がりました。お母さんにそのことを話すと、またい外な言ばがかえってきました。
「おにいちゃんが、『かずゆきは、ど力かだ。』と言っていたよ。」
おにいちゃんが、ぼくのことをこんなふうに思っていたなんて知りませんでした。それに、何もしなくてもできると思っていたおにいちゃんが、かげでいっぱいど力していることを知りました。そんなおにいちゃんは、やっぱりこれからもぼくのライバルなのです。
 【評】かずゆき君が、スーパーマンのおにいさんを、むねをはって自まんしているようなかんじが伝わってきます。おにいさんを目ひょうにして生かつしていくうちに、おにいさんのやさしさやど力の大せつさに気づいたことがすばらしいと思いました。
 「一つでもいいからかちたい」とサッカーのれんしゅうをけんめいにするようす、ドリブルたいけつでおにいさんにかったときに、「かずゆき、うまくなったな」とほめられたときのうれしさもいきいきとかかれています。
 おにいさんを心からすきになり、「これからもライバルだよ」と心の中でよびかけながらど力しようというつよいけついがかんじられるすばらしい作文です。
鹿児島県小学校教育研究会国語部会長・石園一郎

 

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