※タイトルは本人の字を使用しています
| 岩川 佳士乃 | 鹿児島市山下小3年 |
「よくがんばったね。えらい、えらい。」
と言って、頭をなでてくれます。ごはんをたくさん食べると、
「たくさん食べたら、大きくなるからね。がんばって食べてね。それがおじいちゃんの一番のねがいだよ。」
と、なきそうな顔になります。お母さんにおこられた時も、どんな時も、いつもわたしの味方です。
おじいちゃんは、三年前にのうこうそくで入院してから、リハビリに通っています。洋服のぬぎ着も、おふろも手伝いがひつようです。ボタンは自分で外せるけど、服をぬぐ時は、手をばんざいさせて、おばあちゃんがぬがせます。おふろの時は、いすを出して、おじいちゃんをすわらせて、頭をあらってあげます。歩く時は、手すりがあったら歩けるけど、一人ではうまく歩けません。立ち上がることができないので、かたをかしてあげると、そこに手をついて立ち上がることができます。また、おじいちゃんは、たくさんの薬を飲みます。でも、指がふるえるので、つぶを出すのが大へんです。わたしが手伝ってあげると、
「よしのちゃんは、やさしいね。」
と、うれしそうににっこりします。全部してあげたいけど、横からお母さんが、
「全部してあげたら、おじいちゃんのためにならないから、半分だけ手伝ってね。」
と言います。わたしはおじいちゃんのお世話をいっぱいしたいので、ざんねんだけど、おじいちゃんのリハビリになるから、がまんしています。
わたしも体が不自由なので、小さいころから、ずっとリハビリに通っています。おじいちゃんより、リハビリの先ぱいだから、わたしは、おじいちゃんにいろいろ教えてあげます。まず、起き上がることができるように、ふっきんをきたえます。
「おじいちゃん、起き上がるときは、へそを見るようにすると、やりやすくなるよ。」
と、わたしはとなりで声をかけます。また、物をつかむことができるように、あく力をきたえます。大きなものをつかんだり、ボールを使って、キャッチボールをしたりします。物をつかむ時、おじいちゃんの手がふるえることがあります。そんな時は、
「おじいちゃん、ゆっくり落ち着いてやるといいよ。」
と言って、はげまします。
リハビリは、一人ではめんどくさくてきついけど、二人ですれば、楽しいです。二人で同じメニューのリハビリをしたり、じゅん番を考えたり、新しく習ったことを教え合ったりします。わたしは、家でリハビリの先生になったつもりで、おじいちゃんの足を強くするメニューを中心にやっています。それはなぜかというと、今年こそ、おじいちゃんにわたしの運動会を見に来てほしいからです。
「四年生になったら、運動会でおうえんだんに入りたい。せんすやふえを使って、はちまきをしめて、大きな声を出して、かっこよくおうえんしているわたしのすがたをおじいちゃんに見てほしいなあ。それと、運動会でわたしが走るすがたを見てほしい。」
とわたしが言うと、おじいちゃんも、
「よしのちゃんの運動会を見に行きたいな。」
と言ってくれます。それで、つい、おじいちゃんのリハビリに力が入ってしまうのです。足の指でタオルを引きよせるのをきょうそうしたり、立つ時に、足に力を入れて、ふんばるれん習をしたりします。歩くと、と中で足がふるえて、よたよたして転びそうになります。そんな時は、一回止まって、
「せえの。一、二。一、二。」
と声をかけてあげると、また足がすっと出ます。もうちょっとがんばれば、つえをつきながら、一人で歩けそうな気がします。
わたしは、おじいちゃんにしっかり歩けるようになって、元気になってほしいです。おじいちゃんと話をしていると、心があったかくなって、ほっとします。だから、おじいちゃんに長生きしてほしいです。
「おじいちゃんは、いつもよしのちゃんのことを思っているんだよ。かわいくて、心配でたまらないんだよ。」
とよく口にします。たぶん、わたしの体が小さい事、しょうがいがある事、しょう来の事を心配しているのだと思います。だから、わたしは、ごはんをたくさん食べて、体を強く大きくして、よく勉強もして、おじいちゃんに心配をかけないように、少しでも安心させてあげたいです。
「おじいちゃん、わたしもがんばるから、おじいちゃんもがんばってね。」
【評】3年前に、のうこうそくになったおじいちゃんと、リハビリにはげむ佳士乃さん。こまかなところも、たいへんよく書けていました。
「わたしも体が不自由なので」と書いてあり、リハビリについては、けいけんがあって、とてもしっかりした考えをもっている作者です。二人でリハビリをする楽しさが、よくわかります。わたしは、佳士乃さんのハンディについても、知りたいと思いました。
書かれてはいませんが、あたたかい家族にかこまれているふんいきが、伝わってきます。
佳士乃さんは、とても、前むきです。おじいちゃんも、おおいにはげまされるでしょう。心強いですね。これからも、がんばれ。おじいちゃんと、佳士乃さん。
よんでいて、げんきがわいてくる作文です。
「わたしも体が不自由なので」と書いてあり、リハビリについては、けいけんがあって、とてもしっかりした考えをもっている作者です。二人でリハビリをする楽しさが、よくわかります。わたしは、佳士乃さんのハンディについても、知りたいと思いました。
書かれてはいませんが、あたたかい家族にかこまれているふんいきが、伝わってきます。
佳士乃さんは、とても、前むきです。おじいちゃんも、おおいにはげまされるでしょう。心強いですね。これからも、がんばれ。おじいちゃんと、佳士乃さん。
よんでいて、げんきがわいてくる作文です。
(児童文学作家・齋藤きみ子)
| 松元 野子 | 鹿児島市松原小4年 |
私がてっちゃんと同じクラスになったのは三年生のときでした。私はてっちゃんの声を聞いたことがありません。
「話すことができないのかな。」
同じ教室にいましたが、いつも遠くからてっちゃんのことを見ていました。
四年生になりました。私とてっちゃんは、同じクラスになりました。
四年生になったてっちゃんは、初めて給食当番にちょう戦しました。牛乳を配る係りで、私とてっちゃんがペアになりました。「できるかな。」てっちゃんと一緒に作業をしたことがなかった私は、不安になりました。四時間目が終わり、いよいよ給食の時間。給食着に着がえたてっちゃんがろう下にいました。どこにならんだらよいのか分からずに、困っているようでした。
「てっちゃん、こっちだよ。」
思い切って、声をかけてみました。てっちゃんが、私の横にきてくれました。てっちゃんがまよわないように、おそるおそる手をさしだしてみました。てっちゃんが私の手をそっとにぎってくれました。とても温かい、優しい手でした。私とてっちゃんは、だまって給食室にむかいました。給食室の前には、いつも車がとまっています。車が大好きなてっちゃんは、私の手をぱっとはなし、車の方へ走っていってしまいました。
「てっちゃん、だめだよ。」
私は大きな声で言いました。しかし、てっちゃんには聞こえていないようでした。車をさわり、走り回っているてっちゃんを先生がとめにいき、やっともどってきてくれました。
「できたら紙にシールをはろうね。」
先生とてっちゃんは約束をしました。一週間たつと、てっちゃんは、車をさわらずに給食室に行けるようになりました。そして、牛乳をとる直前まで私の手をしっかりとにぎってくれるようになりました。
てっちゃんとの給食当番から一ケ月が過ぎました。いつもより早めに家をでた私は、てっちゃんを見かけました。ものすごいスピードで走っていました。次の日も早く家を出てみると、てっちゃんを見かけました。てっちゃんに負けないくらいのスピードで、追いかけてみましたがなかなか追いつきません。やっとで追いつくと、もうくつばこの前まで来ていました。二人の目があいました。
「おはよう。」
私は、思い切って声をかけてみました。
「おはようございます。」
てっちゃんがあいさつをかえしてくれました。小さくはやいあいさつでしたが、私の耳にしっかりとてっちゃんの声が聞こえました。てっちゃんはしゃべることができないと思っていたので、びっくりしました。「てっちゃんはしゃべることができない。」と私が勝手に決めつけていただけだったのです。
それからの私は、てっちゃんに積極的に話かけるようになりました。てっちゃんに話しかけるようになってから、私はてっちゃんの良いところやすごいところをたくさん発見しました。
まず、てっちゃんのすごいところは笑顔です。てっちゃんはいつもにこにことしています。元気がない私を見ると、てっちゃんは笑顔で私の顔をのぞきこんでくれます。てっちゃんの笑顔を見ると自然と元気がでてきます。てっちゃんの笑顔には不思議な力があるのです。
次にびっくりしたのは、てっちゃんはクラスの友達の名前を覚えていることです。私の名前もしっかりと覚え「松元野子さん。」と呼んでくれます。難しい漢字の友達の名前も、読むことができます。
私は、てっちゃんと同じクラスになって一年以上たつのに、一緒に給食当番をしたり、自分からあいさつをしたりするまで、てっちゃんのことを何も知りませんでした。私の心が遠くはなれていたので、知ることができなかったのです。
十二月、持久走大会がありました。てっちゃんは朝練習にも参加してがんばっていました。いよいよ本番、四年生の男子がスタートしました。一人、二人、次々にゴールしていきましたが、てっちゃんの姿がみあたりません。正門にてっちゃんの姿が見えました。
「てっちゃん、がんばれ。」
大きな声でさけんでいる私がいました。みんなもさけびました。てっちゃんは最下位でしたが、最後まで、一生けん命走り、見事ゴールしました。
私はがんばりやで笑顔の素敵なてっちゃんが大好きです。来年、同じクラスになっても違うクラスになっても心は近くにいるからね。
【評】「とても温かい、優しい手」とか、「てっちゃんの笑顔には不思議な力がある」などと、給食当番を通して、友だちの良さをたくさん発見していく野子さんの心の高まりが、素直につづられた作文です。
特に、「私の心が遠くはなれていたので、知ることができなかったのです」という、自分をふりかえる反省のまなこに、野子さんの優しい人がらと心の成長が感じられ、印象的な言葉でした。
4年生らしい、人と人との心の結びつきや深まりが、温かみのある言葉で、さわやかにえがかれていました。
特に、「私の心が遠くはなれていたので、知ることができなかったのです」という、自分をふりかえる反省のまなこに、野子さんの優しい人がらと心の成長が感じられ、印象的な言葉でした。
4年生らしい、人と人との心の結びつきや深まりが、温かみのある言葉で、さわやかにえがかれていました。
(MBCラジオ「私たちの作文」選評者・田實健一)












