特 集
路面電車の旅
鹿児島名物、路面電車。
どこまで乗っても160円、これを通勤・通学の足だけで終わらせちゃもったいない!
紹介したお店の電話番号や住所は、あえて秘密にしました。さあ、地図を頼りにフェリアと一緒に旅に出ましょう!

  
 
 電車に揺られて外を眺めていると「次は武之橋」のアナウンス。まもなく甲突川のむこうに桜島がど〜んと広がった。あわてて停車ボタンを押して電停に降りると、気のせいか潮の香りがする。それもそのはず1.5キロ先は錦江湾だ。今回は「武之橋」をぶらぶら歩いてみよう。 
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歩道の絵に気付いてた?
 まずは、武之橋を渡ってみようっと。おや!? 歩道に何やら描いてある。近づくと錦江湾側には噴火している桜島、反対側には5連アーチの石橋が切り絵風に描かれている。味気ないアスファルトに比べるとなんだか足取りも軽くなる。
 今の橋ができたのは、昭和39年。並んで架けられていた石橋は五大橋の一つ。「人道橋」として人々に親しまれていたが、5年前の8・6水害で崩れ落ちた。あの日のすさまじい濁流がうそのように、今日の甲突川は穏やかだ。
 橋を往復してみて、それから川沿いを歩く。昭和61年から鹿児島市は甲突川河畔に「緑と彫刻の道」として、ブロンズ像の設置を始めた。「全部で8つあるんだよ」。毎年桜の季節に甲突川沿いを歩く友達が言ってたっけ。そのうちの二つ「はばたき」「QUARTET(カルテット)」が橋を挟んで静かに立っている。歩いてみないと気が付かないことってたくさんあるな。
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ざる一盛りが「オール100円」
 公園のベンチに座りあわせたおばあちゃんに「安い八百屋さんがあるよ」と教えてもらったのが「小野商店」。今年6月に改装したばかりの店は、黄色の日よけが目印だ。
 店頭には新鮮で安い野菜が並んでいる。目玉は「オール100円」のざる盛り。朝、ご主人が市場から帰ってくるのを開店前から待っているおなじみさんも多いとか。
 「パック詰めは嫌いなのよ。ここは触って選べるし、ひとざるいくらって計算しやすいからいいのよ」と袋いっぱいの野菜を抱えたおばちゃんは満足そう。
 甲突川が遊び場だったというご主人の小野弘文さんは2代目。「石橋の上から川に飛び込んだり、夕方になるとゴザを敷いて橋の上で眠ったり、石橋には思い出がたくさんあります」。街の移り変わりを見てきた小野さんの昔話を聞いていたら、流れてしまった石橋が無性に恋しくなった。
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大きな木が    いっぱい
 住宅街の裏手に回ると松方公園がある。小さな公園の一角、イチョウの木の下にでっかい記念碑が建っている。大正12年、日本銀行の生みの親、松方正義の功績をたたえて建てられた。初代大蔵大臣が下荒田出身なんて知らなかったな。
 川に向かってしばらく歩くと、「別処吹上庵 左膳」と黒豚料理の「いちにいさん」の広い駐車場に出た。小野商店のご主人に「このあたりは林だった」と聞いたばかりだけど、それにしてもこの店の周りには大きな木がいっぱい。
 いちにいさんの店長さんが「社長は飲食の仕事についていなかったら、庭職人になりたかったというくらい木が好きなんですよ」と教えてくれた。樹木を愛する人たちに守られて、緑豊かな街並みができているんだな。
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おいしい日替わり定食見っけ!
 昼ご飯は、どこで食べよう。迷ったときは人の後ろをついていくのが一番!? サラリーマンの二人連れに続いて店ののれんをくぐると、焼き魚のにおいがプーンとした。
 「味処あさり」の日替わり定食は820円(税込み)。今日はサバの塩焼き、秋太郎(バショウカジキ)のさしみ、貝汁、ごはん、おまけに「地鷄(とり)カレー」が小鉢で付いている。おいしい、おいしい…。大きなお茶わんのごはんをペロリと平らげてしまった。
 次から次に入って来るお客さんで、店の中はあっと言う間に40人近い人であふれた。「週に4日も通ってくれるお客さんがいるんで、同じメニューが出せないんですよ」と苦笑いのご主人。うまみ調味料を使わず、天然活魚、地鳥などこだわりの材料を使った料理に、店名の「あさり」の貝汁が付く日替わりランチは見っけもん。
 夜は、地鳥のつくねや海の幸がたっぷり入ったちゃんこなべがお薦めだ。
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運が良ければネコバスに合える
 食べ過ぎて大きくなったおなかをさすりながら歩いていると、かわいい車を見つけた。映画「となりのトトロ」のネコバスそっくり。 
 今年の5月にオープンした「天然酵母のパン工房」は、伊敷ニュータウンや桜ケ丘などの団地にこの車で移動販売に出掛けている。「子供たちが車を見つけると、『ネコバスだ』と追いかけてくるんですよ」と店長さん。北海道あずきがたっぷり入った「あんぱん」と「紫イモあんぱん」(どちらも100円)は子供たちに大人気だ。 
 男性に人気のロースカツサンド(280円)と女性に人気のホウレンソウ・ベーコン・トマトサンド(230円)は、厚切りパンでボリューム満点。朝7時の開店から近所の学生やサラリーマンが買っていく。イタリアのパネトーネ酵母を使った食パン(380円)は、ふんわり。はなまる印の絶品だ!
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作品を陰で支える表装
 しぶい黒の看板の「永井墨香堂」は表装、額装を手掛ける店。
 この道25年。ご主人の永井勝二郎さんは鹿児島大学農学部を卒業後、3年間かっぽう料理店で働き調理師の資格を取った経歴の持ち主だ。「私は変わりもんなんです。昔から古いものが好きでね、300年も400年も前の古い書画に出合えると、ものすごくうれしいんですよ」
 最近はテレビの「お宝」番組などの影響か、専門家以外の人が書画の染み抜きや張り替えに来るケースが増えたそうだ。「染み抜きは心臓に悪いんですよ」。失敗したら代わりはない。
 「作品を生かすも殺すも表具次第。でも表具が目立っちゃいけないんです。あくまでも裏方に徹しなきゃ」と永井さん。今度書道展に出掛けたら、掛け軸の色や軸先の素材までちゃんと見てみよう。作品を陰で支える職人さんに感謝しながら…ね!?

 帰りにもう一度川べりを歩いた。ジョギングする人や犬を連れて散歩する人とすれ違う。松方橋の下の河原では子供たちが石投げをしている。夕方のほのぼのとした風景を今日の土産に帰ろう。

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