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鹿児島名物・路面電車。
現在の路線をめぐる「旅」はひとまず終わり。今度は懐かしの旧伊敷線・上町線の沿線を訪ねて、“旅”に出ませんか。
今はもう電車は走っていないけど、かつて電停があった周辺は、今でも魅力がいっぱい! |
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| …旧上町線
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高架で眺めが良かった |
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岩崎谷は高架電停で、桜島と錦江湾が見渡せる景観の良さが人気だった。昭和10年、天皇陛下をのせた列車が下の鉄道を通
るとき、陛下の頭上を走るのは不敬にあたると、列車の通過前後30分間、電車を鉄橋の手前で待機させたという逸話もある。 |
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市電全路線で随一の景観を誇っていた岩崎谷電停。周辺で日常を送っていた人々には、電停にどんな思い出があったのか聞いてみたくて、創業50年の「谷元食料品店」を訪ねてみた。
2代目の谷元鐡生(てつお)さんは、幼少時代からこの地で過ごしている。「50年前は線路の近くに野原があってね、野イチゴや木の実を取るのが楽しみだったよ。電停からは桜島と錦江湾が一望できてねえ。そうそう、ブレーキがきかなくなって七高(現黎明館)堀に電車がひっちゃれたこともあった」と思い出を懐かしそうに語ってくれた。
ところで、ここは自家精米の店。各地で収穫される稲は、その年の気温や天候によって出来が違うので、毎年試食しながらもみをブレンドし、自分の納得いく米づくりをしているとか。「人の舌は千差万別
。だからおいしいと言ってもらえるとうれしいですね」と谷元さん。私が買って帰った “あきたこまち”は、とってもおいしかったですよ。 |
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岩崎谷といえば、西郷隆盛が最期を迎えた地としても有名。歩いていると、「西郷隆盛終焉(えん)の地」にたどり着いた。
「晋どん、もうここらでよか」。7カ月に及ぶ西南の役は、その西郷の言葉を聞いた別 府晋介の介錯(かいしゃく)により終わった―。熊本・田原坂の激戦に敗れ、故郷鹿児島を死に場所に選んだ西郷さんが、最後に目にした風景がここか…。もちろん私が今見ている景色とは違うわけだが、思いをはせると何か感慨深いものがある。
逆行になるけれど、せっかくだから、西郷さんがここに来る前に5日間隠れ過ごした城山の洞くつまで行ってみるか。看板には洞くつまで“300m、650歩”と書かれている。よし! |
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と、その前に休息をとっておこうかな。隣の鹿児島県市町村職員共済組合宿泊施設「城山会館」に入ってみた。よかったー、喫茶コーナーがあった。コーヒー一杯300円か。しばらくくつろいでいこう。
「窓から見える青い屋根の向こう側に岩崎谷の電停があったんですよ」と教えてくれたのは営業課長の安藤洋二さん。安藤さん自身、何度か電車を利用して通
勤したことがあったという。「以前は電車を利用していらしたお客さまも多かったんですが、今はほとんどが車ですね」と少しさみしそうな表情を見せた。
会館の屋上からは、電車通りと錦江湾、桜島がきれいに見渡せたとあって、路線が廃止になる前日の昭和60年9月29日に、日本路面
電車愛好会の方が「屋上から電車の風景写真を撮らせてほしい」と訪ねてきたことがあったとか。路面 電車ファンにとっては、ここは思い出ある場所なのかもしれない。 |
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休息をとったおかげで、足取りも軽く(上り坂はちょっときつかったけど…)、あっと言う間に「西郷隆盛洞窟」に到着した。
1877年9月24日。城山に立てこもった薩軍兵士は300余り、対する政府軍は4万。その勝敗は火を見るより明らかだった。最後の一夜、死を覚悟しながら西郷さんは何を思ったんだろう。人は死を前にすると、これまでの人生が走馬灯のように思いだされるというけれど、西郷さんはきっと今後の鹿児島、というより日本のことを考えていたんだろうな。
少し坂を上がると、「目で見る西南戦争始末記」なる洞くつがあった。洞くつ内部には、戦争の様子が描かれた絵が36枚展示されており、自由に見学できるようになっている。出口にプリクラの西郷さんバージョン(フレーム)があったので、記念にパチリ。なんか私、観光客みたい…。 |
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歩き疲れた身体をいやすにはしんから温まる温泉が一番! 名前がいかにも健康維持に効きそうな「城山長寿泉」に入ってみた。
浴室は窓から入る光で明るい。ツルッとした湯は少し熱めで、皮膚病や神経痛に効果 があるとか。気泡浴に、超音波浴、打たせ湯、サウナといろいろあるので、それぞれにじっくり入っているとついつい時間がかかってしまう。
温泉から上がったら、隣接している「古里の水車小屋」で食事を。どんなものだろうと思って注文した“西郷べんとう”は、鶏モモ肉をタレに付け込んで焼いたごて焼きと、豚ミソとシソ昆布入りのバクダンおにぎり、それにそばと酢の物とボリュームたっぷりで950円!
「西郷さんの豪快なイメージで作っています。西郷さんはおにぎりが好きだったそうですから」と当主の桑水流大二さん。ごて焼きを太い竹の棒にさして食べるなんて豪快そのもの。
そばの香りがよく出る青森のそば粉を用い、毎朝打つという手打ちそばもおいしい。サバ節でダシをとったあっさりスープは、そば本来の味を引き出している。ふー、もうおなかいっぱい!(呑) |
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イラスト 国生 敬 kokusho@ruby.ocn.ne.jp
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