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路面電車の旅
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鹿児島名物・路面電車。
現在の路線をめぐる「旅」はひとまず終わり。今度は懐かしの旧伊敷線・上町線の沿線を訪ねて、“旅”に出ませんか。
今はもう電車は走っていないけど、かつて電停があった周辺は、今でも魅力がいっぱい!


…旧伊敷線

昔から続く
小さな商店も頑張ってる
 国道沿いには新しい大きな店が目立つけど、昔から続いている小さなお店だって頑張っている。何十年も同じ場所で街を見守ってきた商店主たちに、電車が通 っていたころの話を聞いてみよう。

 

 

 

 まずは、電停の位置を確認しようと思い、草牟田電停があったところに一番近い「上宇都商店」に立ち寄った。
 「電停が店の前にあったから、墓参りに来たおじいちゃんたちが、孫にお菓子を買ってあげるためにお店に寄ったものだったけど…」と戦前からこの地域で商売をしてきた上宇都さんは懐かしそうに話す。
 昔は、遠くからリヤカーをひいて商売にくる人たちが、お茶を飲む休憩所として利用していたらしい。長い道のりを歩いてくる人にとって、大切な場所だったんだ。
 この地域に大きな被害がでた8・6水害。上宇都さんのお店も2メートルの高さまで水につかり、商品はすべて処分した。上宇都さんはショックで店を再開するかどうか悩んだが、お客さんから「いつから開けるの? 開いていないと困るよ」と言われ、店を続けることにしたという。
 「路面電車が通っていたころは、この近辺もいっぱいお店が並び、にぎやかだったのよ」と上宇都さん。お店に置いてある駄 菓子や上宇都さんの優しい笑顔が、懐かしい気持ちにさせた。

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 草牟田墓地の入り口には、花屋さんが並んでいる。そのひとつ「大迫花屋」は店主の大迫美代子さんで3代目。明治末期から花屋の商売を続けているそうだ。店内には、ユリや菊を中心に常時15〜16種類の花がそろえてある。
 お墓は代々続くもの。「小さいころ、母親に連れられてよく来てました」と話していた人が、今度は自分の子供を連れて墓参りに来たりすることも、よくあるらしい。
 「鹿児島は本当に先祖を大切にする方が多いですよ。日曜日だけでなく、平日も墓参りに来る人は後をたちません」と大迫さん。先祖を大切にする気持ち、ずっと変わらずにいてほしいなぁ。

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 細い路地を歩いていると「水草館」という店を発見。何の店だろうと不思議に思いながら中をのぞくと、きれいな色の熱帯魚の泳ぐ水槽が、たくさん並んでいる。「こんなところに熱帯魚!?」と驚きながら、中へ入ってみた。
 店長の吉永雄司さんに、以前飼っていた熱帯魚を死なせてしまった話をすると「熱帯魚を飼うのに一番大切なのは、水のろ過」と教えてくれた。
 初心者はどうしても、買ったばかりの水槽に水を入れて、すぐ魚を入れたがる。でも、水槽内の水は4週間くらいろ過を続けて初めて、魚の住める環境ができるんだって。私も早く熱帯魚と生活したいために、魚をすぐに水槽に入れて、苦しい思いをさせていたんだと初めて知った。天国の熱帯魚さんたち、ごめんなさい。

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 そろそろ休憩がしたいなぁと思って甲突川沿いを歩いていたら「コーヒー クレーマーひがし」の看板が…。
 おなかもすいていたので日替わりランチを注文。大きな皿にひじき、とりのささみのバジルソース味、卵焼き、かんぱちの照り焼きがのっている。カボチャや豆腐など具だくさんのみそ汁と食後のコーヒーもついて900円。日替わりメニューは奥さんが、その日の材料によって決めるという。
 「ここはね、鹿児島県内のゴルファーの集まりの場だったの」とご主人の東洋一さん。
 もともとスポーツショップだったのだが、お客さんの強い要望で喫茶店を併設することになったそうだ。平成10年11月11日、午前11時11分に喫茶店としてオープンした。
 「これからもいろんな人がコーヒー一杯で長居できるようなお店にしていきたいですね」と東さん。心のこもったコーヒーと料理を堪能し、ご主人と楽しい話をしていると時間がたつのを忘れてしまう。のんびりと安らげる雰囲気に包まれ、ついウトウトしてしまった。

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 バスで草牟田についたとき、最初に目に入った「田中呉服店」を訪ねた。
 「電車がなくなってからは、人の流れが違うね。昔は降灰が今よりもひどかったから、電車の軌道の溝に灰がたまって、電車が通 るたびに灰が舞って大変だったのよ」と店主の田中留美子さんは昔を懐かしむ。
 創業は、昭和初期のころ。呉服店と言っても肌着や小物なども扱っていて、身につけるものはすべてここで手に入ったので地元の人に重宝されていたとか。その後、時代の移り変わりとともに扱う商品も様変わり。今は婦人服が中心だという。
 田中さんが最近の若者を見て一番びっくりしたのは、ズボンからシャツを出して着ている人が多いことと、ゆかたを着ているのに、靴をはいていること。私にとっては不自然ではない格好も、世代によって見方がいろいろあるんだなあ。
 「どれにしようか迷っている人には、そのときの格好や年齢をみてアドバイスしています。だけど、なじみのお客さんの好みはだいたいおさえていますよ」と田中さん。長年、地元で商売をするには、こんな心配りが大切なのかもしれない。(ピ)

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イラスト 国生 敬 kokusho@ruby.ocn.ne.jp

 


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