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路面電車の旅
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鹿児島名物・路面電車。
現在の路線をめぐる「旅」はひとまず終わり。今度は懐かしの旧伊敷線・上町線の沿線を訪ねて、“旅”に出ませんか。
今はもう電車は走っていないけど、かつて電停があった周辺は、今でも魅力がいっぱい!


…旧上町線

朝の時計代わりだった
電車の音
 上町線の終点、「清水町」電停が設置されたのは、昭和36年。廃止されるまでの間、交通 局から来る始発電車のガタンゴトンという音が、近所の人の朝の時計代わりになっていたようだ。「上町線が廃止されて街に情緒がなくなった」と嘆く声は多い。

 

 

 

 まずは、電停があった場所の真向かいにある「麹の館」に寄ってみよう!「麹の館」という店名から、記念館みたいなお堅い雰囲気を想像していたけれど、中はお菓子屋さんみたい に明るい雰囲気だ。
 扱っている商品は、麹(こうじ)菌を使った食品ばかり。「みそやしょうゆ造りに欠かせない麹は、日本独特のもの。伝統の麹をもっと身近に感じてほしい」と、代表取締役の山元正明さん。
 経営しているのが、昭和6年創業の種麹屋「河内源一郎商店」と聞いて、納得。
 店の人にすすめられ、麹と米だけで作った冷たい「甘酒」(250円)を飲んでみた。おいしい〜! 口当たりがやわらかくて、後味がさっぱりしている。
 「60℃以上になると、麹に含まれる酵素が破壊されるんです。ですから冷たくして、食後に飲むのがおすすめですよ」。ひとつひとつの商品について、スタッフが丁寧に説明してくれるから、とても勉強になる。  
  調子にのって試食させてもらった「麹ムース」(150円)は、すっきりした甘さ。体にいいデザートって、感じ!

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 午前中だというのに、お客さんでにぎわっている「北原鮮魚店」に入ってみた。魚を置いた台の片隅に、葉巻みたいな形をした線香をみっけ! なんとコレ、蚊取りならぬ ハエ取り線香なんだって。
 ショーケースに魚を入れないのは「見て、触って、選んでほしいから」とご主人。昭和5年の創業当時から、商売のスタイルは変わっていない。
 上町線の廃止、スーパーマーケットの進出、国道10号鹿児島北バイパスの開通 。そのたびにお客さんの数は減ったけれど、「調理済みのパックした魚は、苦手…」という常連さんが、吉野や姶良からわざわざ買いにくるそうだ。


 イサキを「三枚におろして」と頼んだお客さんは、「ここは、新鮮で安いうえ、魚を思い通 りにさばいてくれるから助かるの」と、満足そう。
 「この魚の名前は? どうやって食べたらおいしい ?」。お客さんとご主人のやりとりを聞いていたら、うれしくなっちゃった。これが、買い物のだいご味だよね。

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 以前、山形屋で買った 「 手づくりピーナッツ豆腐」が、とってもおいしかったので、製造元の住所を控えておいた。確か、このあたりだったハズ…。
 番地を頼りに探し当てた「伊集院食品」は、なんと普通 の住宅! ドキドキしながらチャイムを押すと、女の人がにこやかに出迎えてくれた。ピーナツ豆腐の作り手の、伊集院かつ子さんだ。
 「商品を卸しているのは、山形屋や山形屋ストア。ここで小売りはしていないけれど、お客さんが注文にいらっしゃることがあるのよ」と言われ、話を聞かせてもらうことに。
 いりピーナツで作る、香ばしくてねばりのある茶色のピーナツ豆腐(1パック150円)は、伊集院さんがお母さんから譲り受けた味。家の6坪ほどのスペースで、1日500個ほどを、朝3時から数人で作り、出荷している。
 「働く喜びを体験させたくて、子供たちにも手伝わせていたんですよ」と伊集院さん。日ごろの10倍も注文が来るお盆は、独り立ちした子どもたちも自発的に手伝いに帰ってくるそうだ。隠し味は、ファミリーの愛だったんだね。

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 ふう〜、それにしても今日は、よく歩いているなあ。喫茶店が見当たらないから、自動販売機でお茶を買って、水分補給。
 JRの踏み切りを越え、「←多賀山」の案内板に沿って坂道を上ると、右手に「田の浦窯」がある。
 入り口の張り紙「五大石橋 箸置(はしおき)セットで1000円」に誘われて、さっそく中へ。
 店内は、白薩摩の茶器、酒器のほか、黒薩摩のフリーカップなどが、並んでいる。
 ご主人の冨吉健二さんがデザインした箸置は、黒褐色の黒薩摩。
 玉江、新上、西田、高麗、武之橋と、橋の名を後ろに彫ってあるから、「この橋な〜んだ?」って、楽しめそう!?

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 初めて訪れた「多賀山公園」。駐車場の案内板を見ると、広い! 敷地内には、東福寺城跡、多賀神社もあるようだ。
 まず、東郷平八郎の像のある場所まで行ってみた。眼下に祇園之洲公園、石橋記念公園が広がっている。左手には、錦江湾と桜島。絶景! 絶景!
 感激していると、散歩中のおじちゃんが、「多賀山公園は、鹿児島八景のひとつなんだよ」と教えてくれた。そういえば、多賀山は、デートコースにもってこい! って、聞いたことあったなあ。
 加治屋町に生まれ、16歳のとき、薩英戦争で初陣。その後、日清、日露戦争で大戦果 をあげた東郷平八郎。彼の目に、埋め立てられた祇園之洲は、どう映っているんだろう。
 石橋記念公園でお弁当を広げている姿が見えた…。もう限界。お なかがす いた〜! 今度は、お弁当を持ってこなくっちゃ!(

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イラスト 国生 敬 kokusho@ruby.ocn.ne.jp

 


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