特集 路面電車の旅
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鹿児島名物・路面電車。
現在の路線をめぐる「旅」はひとまず終わり。今度は懐かしの旧伊敷線・上町線の沿線を訪ねて、“旅”に出ませんか。
今はもう電車は走っていないけど、かつて電停があった周辺は、今でも魅力がいっぱい!

最終回 伊敷町電停

…旧伊敷線

伊敷線の終点だった
 伊敷線の終点だった伊敷町電停。近くには詰め所と操車室があり、昭和56年までは操車係が発車ボタンを押して電車を出発させていたそうだ。それ以降は各運転手が自分の時計で出発時刻を確認し、発車させるようになった。そして昭和60年9月30日、路線廃止の日を迎えた。

 

 

電停が近かったお店

 

 以前伊敷方面に住んでいたことがあったけど、電車が走っていたころは知らない。まずは電停があったところを聞いてみようと思い、電停があった場所に近い「稲森書店」に入ってみた。店内の棚に並べてある本は古本や貸本が中心。なんだか懐かしいなぁと思いながら、見ていると店の奥から優しそうな女性が「いらっしゃいませ」と出迎えてくれた。「主人の父のやっていたこの店を継いで、25年くらいたちますかねえ。前は雑誌などもたくさん置いていたんだけど…」と話してくれたのは稲森久江さんだ。
 「電車が走っていたころは、3号線沿いもにぎやかでしたよ。伊敷町の電停が終点だったから、夜遅い時間まで電車を降りたお客さんが寄ってくれて、そのころが一番よかったわね」と当時を振り返った。

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この道50年の靴職人
 黄色い看板がちょっと気になる「上栗靴店」。中には一人の男性の姿が見えるんだけど…。とりあえず入ってみよう。
 中にいた男性は店主の上栗満男さん。この道50年の靴職人だ。16歳で親元を離れ、西鹿児島駅の近くにあった親方の家に10年間住み込んで修業をしたそうだ。
 「昔は靴の注文も多かったんだよ。特に8月と12月はお盆と正月を迎える準備でみんなが靴を買い替えていたから、一年で一番注文の多い時期だったね」と上栗さん。そういえば、小さいころ正月前になると両親が新しい服を買ってくれたっけ。なんだか懐かしい!
 手に職をつけるために入った靴職人の世界。大量生産の規格品が主流となった今、出番の少なくなった上栗さんは少し寂しそう。

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こんなところに窯元が…
 3号線から一歩入れば、マンションや一戸建てが立ち並ぶ住宅街。そんな中に「玉翠苑」を発見。一見普通の家に見えるけど、中にはいろんな形の器が所せましと並んでいる。
 「20歳まで油絵を学んでいたんですよ。その後、絵つけの先生の所に9年間弟子入りしたんです」とご主人の橋口盈俊さん。 もともと絵つけが専門だ。しかし「人の作品に絵をつけるだけだったら、自分の作品ではない」と思うようになり、15年前に独学で陶芸を学び始めたという。
 橋口さんに教えられるまで、全く知らなかったことがあった。それは、ひとつの陶器を作るのに、主に陶器を作る”陶工“と、絵をかく”画工“の2種類の人がかかわっているということだ。ほとんどの窯元は分業らしい。でも橋口さんは一人ですべてを行う。自宅は店舗と作業場を兼ねていて、2階の作業場で毎日作品を作っている。ちゃんと窯もあるそうだ。
 最近一人暮らしを始めた友人にぴったりの小さな器が目に入った。今度買いに来ようかな。

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服の病を直します(!?)
 川沿いを歩いていると、マンションの1階に大きな看板が…。「洋服のお医者さん」と書いてある。何ともインパクトのある看板だなぁと思い、部屋をたずねた。
 部屋から出てきた若い女性が洋服の”お医者さん“ である磯野さん。一人で洋服のすそ上げやサイズ直しをしている。今は業者からの注文がほとんどだが、インパクトのある看板を見て、近所から洋服の直しを頼みに来る人も多いらしい。
 「1着しかない服なので、生地に傷をつけないように注意しています。補整で一番時間がかかるのが、ほどくとき。だからほどいてしまえば、補整の半分は終わったと思ってもいいくらいなんです」と磯野さん。そういえば、最近友人が、スカートのウエストがきつくなったと言っていたなぁ。「洋服のお医者さん」に通 院することを勧めてみようっと。

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タコ焼きを自分で作ろう!
 だんだんおなかがすいてきた。3号線沿いを歩いていたら、ソースのにおいがプ〜ン。においにつられて「たこ焼ごっ子『たこ光』」へ。
 『たこ光』は今年の7月にオープン。店内は広々としている。あっ、テーブルにタコ焼き器が…。まさか、自分でタコ焼きを作るの?
 「家族や友達と一緒にタコ焼きを作ってほしいと思って置いたんです」とご主人の櫨元(はぜもと)弘巳さん。
 タコ焼きの具はタコやもちなど全部で6種類。私が注文した五目タコは全種類が2個ずつ食べられるお得なメニューだ。櫨元さんの娘の香織さんが具を流し入れてくれ、「周りが固まってきたら返していいですよ」と教えてくれたので早速挑戦。しかしなかなかうまくいかないので香織さんにやってもらうことにした。
 「意外に子供さんの方がうまいんですよ」と香織さん。ここのタコ焼きは外はフワフワ、中はトローッとしていて、一気に食べてしまうとやけどしそう。
 おなかいっぱいだけど、一日限定10食の焼きそば定食も注文しちゃった。ボリュームたっぷりの焼きそばとタコ飯、漬物がついて500円。
 持ち帰りするタコ焼きも自分で作れるなんて、うれしいよね。今度は友達を誘っていこう。(ピ)
           ◇
「懐かしの路面電車の旅」は今回で終わります。「ちっちゃな路面電車の旅」から引き続きご愛読ありがとうございました。

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イラスト 国生 敬 kokusho@ruby.ocn.ne.jp

 


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