住宅地の中で、小高い丘になった神社を見つけた。「伊佐智佐(いさちさ)神社」と書かれている。
「イザナギノミコトとともに日本をつくったとされる女神イザナミノミコトを祭っています」。掃除をしていた宮司の青木直平さんが教えてくれた。漁業や農業で栄えた谷山の総鎮守として、長年崇敬を集めてきた由緒ある神社だそうだ。
かつて和田浜海岸に整備された港はなかったが、数多くの漁船が出入りしていた。水揚げされた魚を市の中心部で行商していたのが、谷山嫁女(よめじょ)と呼ばれる女性たち。鮮度が大切な魚を運ぶため威勢がよくて、「谷山嫁女が通ると、侍も道を避(よ)ける」と言われたとか。
神社の北側は道が入り組んで、漁村の形跡をとどめていた。 |