小学生のころ、学校からの帰り道、とっておきの場所があった。
そこは両親の友人が経営する料亭だった。その当時、自営業の両親にあまり構ってもらえなかった私を、ご主人たちは家族同然に面倒をみてくれた。
登下校の距離は片道3km。子どもにとって、この距離は地獄だった。途中に立ち寄ってもらうコップ一杯のお水とお菓子がうれしかったこと。忙しいなか、いつも笑顔で話を聞いてくれて、とても居心地のいい場所だったのを覚えている。
そこで父がよく食べていたのが「天ぷら」だった。たまにおすそ分けしてもらう一本のエビ天。外はさっくり、中はふっくらしていて、ほっぺが落ちそうなくらい。少し甘めで黄金色の天つゆに絡めながら、ゆっくりゆっくり味わうのが、幼い私の一番のごちそうだった。
今でも天ぷらを口にすると、その思い出が鮮明によみがえる。心まで温かくしてくれる。
おじちゃん。いつまでも変わらず、この味を守り続けてね。
天ぷらバンザイ!
●撮影協力 旬亭「夢」
住/隼人町内1177の4
電/0995(42)8033
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