暮らしを彩る文化・生活情報紙
Vol.41
11月某日
出水平野がツルの渡来地となったのは、島津藩が干拓した400年以上前とか。今じゃ7年連続1万羽を超える、世界一の渡来地。こんな場所が車で2時間のところにあるなんて、すてきじゃありません?
。
出水に住む人が勧めてくれた
「ホテルキング」
。浴室は明るくて清潔、落ち着いた雰囲気で、お湯はややぬるっとした感じ。
まずは内湯で体を温める。3つの浴槽は少しずつ温度が違って、「水→ぬるい→熱い→ぬるい→水…」と段階的に何度も入ると刺激があって気持ちいいことを発見。
ん? 奥になにやら秘密めいた部屋。壁全体が木製で、一人で入るにはちょうどいい高床式のヒノキ風呂が置かれている。木のいい香りに包まれて体をぐーんと伸ばすと、運転の疲れもとれそう。
露天は趣ある日本庭園風で、岩風呂と五右衛門風呂2つ。五右衛門の一つは熱く、もう一つはぬるい。こちらも「ぬるい→熱い→ぬるい…」を繰り返す。入る度に半分ぐらいのお湯がザザーッとこぼれて自分の体積を確認。大容量でびっくりしたが、段階的入浴法(?)のせいか、だんだん体が引き締まってきたようだ。「肌がつるつるになる」と聞いて思わず長風呂になってしまった。
来たときは「鹿児島よりずっと寒〜い!」と思ったけど、帰るまでぽかぽか していた。
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出水に冬、来たからにはツルを見なきゃと
「出水市ツル観察センター」
へ。
うわーッ、いるいる。1万羽を超えるツルが田んぼにぎっしり。優雅な立ち姿で、キューキューという鳴き声がかわいい。あれっ? 飛んでいるのは4羽単位が多いけど…。
「お父さん、お母さん、今年生まれた子ども2羽。ツルは毎年2個だけ卵を産むんですよ」とセンター職員。渡りのときも、散歩にいくときも家族一緒。長旅ではお父さんが先頭で行程を決め、お母さんが後ろから子どもたちを見守るそうだ。確かに、子どもを挟んで飛んでいる。
1羽で行動するのはシングル。子どもたちはシベリアに帰ると突き放され、独身の群れに入る。3年ぐらいで、そろそろお相手をと結婚するらしい。一生にただ1人…いや、1羽と添い遂げるというのも興味深い。
ツルの羽数は12月から1月がピーク。2月初旬から3月末まで北帰行が見られる。
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「昼どきは行列ができる店」とのうわさで
「漁亭 いわし茶屋」
に向かった。
「名物いわし膳」(900円)は刺し身、煮付け、なます、かき上げ、すり身のつき揚げ…とさまざまなイワシ料理が堪能できる。刺し身はイワシ1〜1.5匹分、つき揚げは3匹分とボリュームたっぷり。
「毎朝、阿久根漁港や鹿児島中央市場で約50kg仕入れます」と石澤幸一社長。より新鮮なイワシを食べてほしいと、調理する直前まで冷水に漬けているそうだ。厚めに切られた刺し身は身が締まっている。
隣で「いわしコース」(2200円)を食べていたおばあちゃんが「あ〜おいしかった。生きててよかった」とつぶやいた。わかる、その気持ち。
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長年行きたいと焦がれていた場所が
「東雲(しののめ)の里」
。ご主人・宮上誠さんは12年かけ一人で山奥深く4万坪の山林を開拓し、10万本の和あじさいを植えたすごい人。2kmの遊歩道、ギャラリー、食事処、宿、窯、茶室もほぼ手作りだ。
一歩森にはいると、川のせせらぎ、鳥や虫の声だけが響く静かな世界。点在する家屋やオブジェはどこか懐かしく温かい。
妻の真里子さんが地元の素材で作るたかな飯定食(1000円・要予約)、しののめ団子、わき水で入れた有機コーヒーも絶品。すべてに陶芸家でもある誠さんの器が使われる。力強くて遊び心のある作品は、誠さんそのものだ。
自然の中、豊かな気持ちで暮らしたいと思い続けた形が今の生活に現れている。「だれでもできる。やるかやらないかだけですよ」という言
葉が心に残った。
(ぽ)
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DATA
●ホテルキング
住-出水市向江町5−18
電-0996(62)1511
入湯時間--6:00〜8:30、14:00〜23:00
料-300円
●出水市ツル観察センター
住-出水市荘2478−4
電-0996(85)5151
開園時間- 11月1日〜3月第4日曜
営-9:00〜17:00
料-210円
●漁亭 いわし茶屋
住-出水市武本3063−1
電-0996(62)8858
営-11:20〜14:30、18:00〜20:30(OS)
休-火曜日
●東雲の里
【問】出水市上大川内2881
電-0996(68)2133
営-9:00〜17:00
休-不定
¥-あじさいの時期のみ500円 ※他の時期、見学のみ不可
イラスト 張 佐和子
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