釣りたての海の幸を頂く。そう、刺し身のことだ。魚族にとっては迷惑だが、食物連鎖という方式から見れば自然の摂理。生身のうちに人間の胃袋に収まることは、至上の成仏であり、ありがたいと思っていただこう。勝手な論法と食欲を引っ下げて船を出す。
先号で紹介した餌木(えぎ)を流すやり方。期待を裏切られることは承知だが、それでも竿(さお)に手応(ごた)えなどあると、つい唾(つば)を飲み込む。
いそいそと家路へと急ぐ。体表を指で触るとコロコロと斑点(はんてん)が動く。反応あるうちが条件だ。極力、薄切りがいい。皿に盛り付けたイカ山に鶏卵の黄身だけ一個落とす。擦(す)りニンニクも忘れてはならない。少々の醤油(しょうゆ)を垂らし箸(はし)でゆっくりと混ぜる。はい、出来上がり!
活魚料理屋で出される残酷な?姿見刺し身に程遠いのも助かる。薩摩切子に注がれたロック焼酎など添え演出すれば益々(ますます)、脳下垂体が刺激される。いただきまあ〜す!・・・・声も出ない。素朴な肉の甘さと蒜(にんにく)の薫りが溶け合い口内に広がる。五臓六腑も唸(うな)る。
今まで幾万もの魚の命を頂いてきたか? が、感謝の筆頭にはいつもイカが居座る。イカ様野郎呼ばわりされかねない愚生だけに、せめてこの逸品コーナーにご登壇頂くことでお許しを請いたい。
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●撮影協力 司すし(鴨池1丁目店)
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住/鹿児島市鴨池1丁目61の10
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