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思い出の逸品 カスタードプリン
徳永 伸一氏
鹿児島東宝支配人
プロフィル
長崎県佐世保市出身。
父親が映画関係の仕事をしていたため、
幼いころより多くの映画に親しむ。
昭和四十六年、九州東宝に入社。
福岡、北九州の劇場などを経て六年前に鹿児島に赴任。
五十四歳。
カスタードプリン
photo by SunSeeker
 初めての出合いはデパートのレストラン。子供のころ、デパートに連れて行ってもらい、屋上の遊園地で遊び、ラストは下の階のレストランで食事をする。そんな最高に楽しい一日での出来事だった。
 それは、昨今売られているようなプラスチック容器入りではなく、銀色の器に載り、厳(おごそ)かに現れた。そのとき「これは何だろう」という気持ちはあったと思うが、よく覚えていない。
 スプーンですくい口に入れると、今まで経験したことのない甘さとなめらかさが広がり、今のプリンより、もっと濃厚な味として記憶に残っている。子供心に、世の中にはこんなにおいしい物が有るのかと思った。
 大げさな、と思われるかもしれないが、おやつといえば蒸かし芋か、せいぜい紙芝居のおじさんの水あめ。一般の家庭では冷蔵庫もなく、卵やミルクを使ったお菓子という発想がまずなかった時代の話だ。食糧事情がだんだん良くなり、さまざまな洋菓子も出まわるようになったが、あの時の驚き以上の出合いはない。
 さすがにこの年齢になると、今でもプリンが大好き! という話にはならないが、私は家族の者から笑われようとも、市販のプリンを食べるときは、必ず容器から皿に移し、カラメルシロップを上にしてスプーンで食べる。そうしないとなぜか味が半減するような気がする。私にとってそんなこだわりを残す、思い出の逸品である。
●撮影協力 撮影協力 ステーキハウス 藤安
住/鹿児島市平之町13−29
電/099(224)7736
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