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思い出の逸品 コインローファー
村岡 良寛氏
陶芸家、造形作家
プロフィル
九州産業大学芸術学部卒。
京都炭山工芸村 犬塚勇先生、
走泥社同人 河島浩三先生に師事。
伊集院町にて独立。個展中心の活動を展開。
九十八年から二○○二年まで南風の生活文化展審査委員。
赤塚学園、神村学園講師。造形家グループ会員。
鹿児島県陶業協同組合専務理事。
コインローファー
photo by SunSeeker
 こう見えても、中学、高校と結構まじめだった。制服から解放され、真っ先に行ったのが西駅一番街(当時)。赤いインナーの皮のとんがり靴、シャツ、カーキ色の短めのコートを買った。格好いいと思っていたのだ。
 進学のため福岡に住むことになったのだが、見事に田舎者の自信は打ち砕かれた。本当にショックだった。何かが違う、周りがとても素敵に大人に見えた訳で、靴もコートも一週間でお払い箱。勉強はそっちのけで、「メンズクラブ」を教科書にむさぼるように色々なことを吸収した。一カ月も経たないうちに見事に変身、俄かアイビー少年の出来上がり。VANのボタンダウンシャツにコットンパンツ、アーガイルやラインの綿のソックスにコインローファー。
 入学してすぐに大学の近くの踏切ですれ違い、雷に打たれた様にひとめぼれした髪の長いミニスカートの少女も、眩しい程のセンスの良さだった。今も時々会う機会のある彼女は相変わらず魅力的で、一瞬に時の歯車が逆回転。淡い恋心をともないながらの、あの頃の喧嘩友達に戻ってしまうのだ。
 僕の変身の象徴でもある、甲の部分のスリットに1セント銅貨をはめ込み、ピカピカに磨き込んで履いたコインローファーは、定番のウイングチップ、タッセルスリッポンなど共にデザインも変わらず、数十年の流れを封印したかのようにショップに並んでいる。
●撮影協力 リーガルシューズ天文館店
住/鹿児島市東千石町13−8
電/099(223)9789
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