クロスティーニとは、イタリア風カナッペのこと。その種類は無限だが私が特に好きなものは、レバーペーストのシンプルなもの。イタリア料理店に行くとその日のメニューになくても頼んで作ってもらうほど私が一番だと思うのが、ヴルカーノのクロスティーニ。
素材にこだわり、素材の持ち味を大事にするこの店は他にもおいしいものがたくさんあるが、まさに素材そのままのクロスティーニにその思いが凝縮されている。そのおいしさに食欲の火が灯り、これから始まる楽しい宴に心は高鳴る、この上ないアンティパストとなる。
初めて口にしたのは、二十代のはじめに行ったフランス。パリジェンヌを気取って肉屋で地元の人々に混じってパテを買った。ホテルに持ち帰り他に買った小さな青いりんごと食べた。この時、肉が甘いことを初めて知った。
それ以来、あの味にはなかなか出会えなかったが、この店ではそれに会える。女友達三人と「ヴィオラ会」なるものを結成した。ここで食事をする口実で作ったような会である。ヴィオラとは三色すみれのこと。ヴルカーノでの、夢かうつつかの宴の最中につけた名前であることは言うまでもない。
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