ポストにある店から次の企画展の案内が来ていた。漆器の作家・赤木明登さんの作品展だった。
ひとめぼれした。三センチ四方の小さな写真の一つだったが、コンクリート壁の前に置かれたその黒いお弁当箱はずい分と現代的で、それでいて寡黙そうで、でも凛としていて、実物を見ずにはいられなくなった。
作品展へ行くと漆器へのそれまでのイメージが見事に崩れた。決して特別のものでなく、普通の日本の暮らしに溶け込むものであることがわかった。逆に、日本人の感性や暮らしの中で自然に培ってきたものが器から溶け出してくるような気がした。ご飯やお味噌汁をいただくことなど当たり前のような何気ない生活は、実はとても大事なことなんだときちんと見つめたくなるような器であった。
目的のお弁当箱を手に取ると、その手触りに驚いた。つい撫でてしまうほど馴染むのだ。二段の長方形のお弁当箱には、気取らないシンプルなおかずが一番合うだろうと思った。玉子焼き、塩鮭…。
お手入れがめんどうかなと迷っていると、「漆器は真っ二つに割れても元通りにできるんですよ」と赤木さんの頼もしいお言葉。普段の生活にいいものを使う。楽しい暮らしをする上で大切なことなのかもしれない。
●撮影協力 壺中楽
住/鹿児島市吉野町2433-17
電/099(243)2555
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