ススキ、萩、ツワブキの花、吾亦紅など、季節の変化を感じさせてくれるものは数多い。鹿児島で「ンべ」と呼ばれる赤紫の実と、赤の実をたわわにつけたツルウメモドキは、大好きだった祖父との、半世紀も前の懐かしい思い出を運んでくれる。
狩猟解禁になると祖父は「待ってました」とばかりに、隣町の山奥へ1週間ほど自転車で出かけていった。車社会とはほど遠いころの話である。お土産は必ずツルウメモドキとンベだった。
秋が深まるころ、黄色い実が割れて、中の赤い種が顔をのぞかせるツルウメモドキ。黄色と赤のコントラストが何とも言えない。これを花瓶に差し、壁につるして楽しんだ。
ンベは黒い種ごと口に入れ、「ごちょごちょ」と半透明の果肉と種をはずすのであるが、なかなか難しい。しまいにはほっぺが痛くなり、果肉のついたまま種をプーッと出していた。これがまた甘くておいしいものだった。
今では口にすることはほとんどなくなったが、和食器等に飾って目で味わっている。できれば庭に植えたいと思うのだけれど…。やはり山奥から探し出してくるンベが一番、味があるのかもしれない。
今年もその時期がやってきた。祖父とのことを懐かしく思い出している。
●撮影協力 明来日ta館
住/鹿児島市和泉町4の8
電/099(216)8730 |
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