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思い出の逸品 さげもん
米永 優子さん(よねなが ゆうこ)さん

建築家・サウルス設計事務所
プロフィル
“柔軟な発想と丁寧な設計”で気持ちのよい住宅を提供。南日本新聞「読者と報道」委員会委員
さげもん
photo by SunSeeker
 幾つになってもお雛様を出すときは心が弾みます。雛壇を飾り終え「さげもん」を天井から吊すと、空気が一気に華やぎます。 私はこの瞬間がとても好きです。
 「さげもん」というのは、私が生まれた福岡県柳川地方に古くから伝わる雛祭りのさげ飾りです。糸を幾重にも巻いて作った手まりや縮緬で作った縁起物の鶴、兎、宝袋、おくるみ人形といった細工物をたくさん糸で連ねて、丸い輪っかに吊したものです。女の子が生まれると初節句に、子どもの健やかな成長を願 って親戚から贈られるのです。
 思い出して私の初節句の時の写真を開いてみると、なつかしい祖父母のびっくりするぐらい若々しい顔がありました。まん丸い目をしたかわいい女の子は、こっくりとした紫地に色とりどりの 花模様を染め出した着物にくるまって、カメラのレンズを見つめていました。 
 雛祭りは女の子のお節句だけれども、母となった今は、また違った楽しみがあります。娘と 貝のお汁に菜の花をうかべながら、お重に詰めたちらし寿司に錦糸卵を散らしながらおしゃべりします。
「今日は、子供も白酒を飲まなきゃいけないのよ。」
「え〜!いやだあ。あれ?これ、カルピス?」
                                ●撮影協力 高岡玩具店
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