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思い出の逸品 カウンター
米永 優子さん(よねなが ゆうこ)さん

建築家・サウルス設計事務所
プロフィル
“柔軟な発想と丁寧な設計”で気持ちのよい住宅を提供。南日本新聞「読者と報道」委員会委員
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photo by SunSeeker
 薄暗くじめっとした空気、少 し饐えたようなにおいがする。 視点はとても高い。
 これが私の一番古い記憶である。 ときどき独特のにおいを伴って 頭に浮かんでくる懐かしい光景。 その場所に合点がいったのは中 学生になるころだっただろうか。
 私の父方の祖父は、大層お酒 が好きな人であった。筑後地方 の油問屋の大店で、手広く商売 をやっており、鹿児島からも菜 種油を船で買い付けていたそう であるが、祖父の代にはもう見 る影もなかった。
 昼間から碁を打ち、酒の肴を つくっていた。そんな祖父は初孫 の私をかわいがってくれ、どこへ も抱いて連れて行ったそうだ。
 祖父の家を出てすぐに「井出 の橋」という橋があり、その橋を 渡ったところに古い木造の酒屋 があった。
 絶壁の縁に置かれたような 印象や、しっとりと体に馴染む 感触は酒屋の角打ちのカウンタ ーだったに違いない。私はその上 にひょいと乗せられ、敷皿の上に 置かれたガラスのコップに注がれ る酒を見ていたのだろうか。
 二十歳を過ぎるころから、あ の饐えたようなにおいの記憶が 年々薄れてきてしまったことに一 抹の寂しさを感じている。
                                 ●撮影協力 のり子
                                 住/鹿児島市名山町4-26
                                 電/099(223)6346
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