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思い出の逸品 鶏飯
久留 ひろみさん(ひさどめ ひろみ)さん

沖縄・奄美スローフード協会副会長
プロフィル
 女子栄養短大、沖縄国際大学卒業後、鹿児島大学
大学院で文化人類学を学ぶ。2000年、名瀬市に
奄美料理店・新穂花、05年鹿児島市のドルフィン
ポートに鹿児島店をオープン。長寿の島・奄美の食
文化を栄養学、民俗学的観点から検証している。
鶏飯
photo by SunSeeker
 幼い頃の我が家の庭には、パパ イヤやみかんの木の横に鶏小屋 がありました。家の床下には鶏 たちが卵を産んでくれるので、 子どもたちは、その卵を取りに いくのも仕事のひとつでした。
 私の祖母は、明治 27 年生まれ、 96 歳で亡くなりました。その祖 母が作ってくれるトリン汁(鶏の スープ)は、幼い頃の私にとって、 とてもおいしいごちそうでした。 指先でパラパラとマシュ(海の塩) を入れるだけのシンプルな味付 けでしたが、香り高い地鶏の味 は忘れられない味です。そのスープが命の鶏飯料理。私はなぜか 鶏飯を作るのが好きになってい ました。大勢の人が集まるとき、 必ず作ると喜ばれるのが嬉しく て、よく作っていました。
 鶏飯に代表されるように、長 寿の島・奄美には豊かな食文化 があります。消えつつある郷土 料理や、独特の食材を大切にし ていきたい。そういう思いから奄 美の食文化を学び、発信してき ました。
 風邪の時、日本のお母さんは お粥を作って子どもに食べさせ ます。ヨーロッパでは、上質のチキ ンスープを作ってあげるそうです。 わが家でも、母はいつもの鶏のお 汁に、生姜を入れていました。
 今も鶏飯を食べるたび、優し かった祖母を思い出します。で きるだけ鶏の持ち味にこだわっ たあの味…。おいしくて、みんな が元気になるような奄美の料 理を伝えていきたいと思います。
                                   ●撮影協力 新穂花
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