初
め
て
ま
た
が
っ
た
時
、そ
の
重
さ
に驚いた。エンジンを始動する前
の、神経を張りつめた取りまわ
しは苦行に近い。なぜなら30
0kgの巨体、少しでもバランス
を崩すともう一人では起こせな
いからだ。国産車がいかに多くの
メッキ部分から成っているかを思
い知らされた。ハーレーが鉄馬と
いわれるゆえんだ。
しかし、この鉄の塊がいったん
走りだすとどうだろう。猫科の
猛獣が喉を鳴らしているかのよ
うなエンジン音を響かせながら、全身をふるわせて駆ける。握力
計ほど固いクラッチを力まかせに
握りつぶし、ブーツの爪先で蹴り
上げると、ズドンという轟音と
ともにシフトアップしていく。その
パワーは絶大だ。なにしろ車輪一
つに軽自動車一台分の力が与え
られている計算になる。しかも
背もたれのあるシートに全身を
委ねているのではない。ただまた
がっているだけなのだ。だからま
るで空を飛んでいるような開放
感に包まれる。乗りはじめの頃
は、あまりの心地よさによく泣
いていた。比喩としてでなく実
際に。特異体質かもしれない。
バイクは危ないとよく言われ
る。しかし、この快楽を知らずに
一生を終えていたらと想像する
と、そちらの方がうすら寒く覚
えてくる。
●撮影協力 アクティブ
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