毎週月曜日、病院の待合室で
花を生けています。
白い実の付いた綿の木を生け
ていると、横でジーッと見上げて
いらしたおばあちゃまがいました。
「終戦後、家にたくさんの親戚
が引き揚げてきて、布団が足り
なくてね。綿を植えたのよ。で
も収穫してみたら、たった座布
団1枚分だったの。ハハハ」。当時
の親戚の方々の顔や戦後の苦労
など、さまざまなことを思い出
しながら眺めていたのでしょう。
さねん葉を生けたときは「こ
れで蒸した団子は香りがよくて日持ちするから、昔はよく作っ
たもんだったわ。それに水も腐
りにくいのよ」と患者さんが話
しかけてみえました。確かに水が
ホントにきれいで、驚いたのを覚
えています。
花には人それぞれの思い出が
あります。そんな話を聞きなが
ら生けているうちに、
「病院に生
ける」ということは、インテリア
の一部として美しく仕上げるこ
とではないのだと思い始めました。
街中にある病院で、お年寄り
や体が不自由で出かける機会の
少ない患者さんたちのために、
懐かしいひとこまや思い出の景
色を創る…。そしてわずかな時
間でも楽しんでもらえたら。患
者さんとの触れ合いの中から、
「実
はこういう花を生けたかったのだ」
と気付かされたのでした。
思い出話を聞きながらの生け
込みは、実は私に一番のセラピー
効果を与えてくれているのかも
しれません。
●撮影協力 米盛病院
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