夫はプレゼントが上手な人で
した。初めてもらったのは結婚前
のこと。当時、宮崎の都農町に
出張勤務していた夫に「鳩猟に
行かない?」と誘われました。電
話で2〜3時間もその面白さを
話す夫。あまり気乗りしなかっ
たのですが、姑におせちを届け
るのを頼まれ、その上実家の父
が、嫁に行き遅れていた娘のラス
トチャンスと思ったのか、妙に機
嫌よく「いってらっしゃい」モード
なのです。彼に逢えるし散弾銃
も見たことないしと、出掛けま
した。
宮崎駅のホームで出迎えてく
れた彼は、私が手袋をしていな
いのを見て「寒いから手袋がいる」
とその足でデパートに向かいまし
た。夫は売り場のケースをのぞき、
いろいろ出してもらった中から朱
色に黒でトリミングしてある物
を手に取り「どう?」と私に尋
ねました。その間の彼の動作や
選んだ手袋を見ながら、私は一
生のことまでも決めたのでした。
あれから29年、今でもあの手
袋は早く逝った夫同様、あせも
せず、きれいな朱色のままたん
すに鎮座しています。折に触れ、
取り出しては眺めて活力を得て
きました。不器用な私が今、手
先を使う仕事をしているのを夫
は驚いて見ていることでしょう。
●撮影協力 サツマ火薬銃砲販売所
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