やたらとトロンボーンのレコードに当たる時
期があった。あちこちジャズ喫茶巡りをしてい
た頃のことだ。
初めて入った店で、特にリクエストもせずコー
ヒーを待っている。こういう場合、お店のマスター
はとりあえず無難なレコードを選んでくれる。
膨大なコレクションの中から一枚を引き出し、タ
ーンテーブルに載せ、静かに針を落とす。トロン
ボーンだ。まただ。
トロンボーンは必ずしも花形とは言えない楽
器だ。そう頻繁にはかからない。それが僕の行
く先々でいつもかかるというのは、ちょっとした
縁を感じずにはいられない。思わずマスターに
も質問したくなる。僕ってトロンボーン顔です
か。
街に出て、人に会って、音楽を聴く。そこでの
意外な発見が好きだ。
まあ、ジャズ喫茶でこんな楽しみ方をしてい
るのは、僕だけでしょうけど。
撮影協力/珈琲店キリマンジャロ
[プロフィル]
1971年、鹿児島市生まれ。法政大学法学部卒業。学生時代から、東京・神楽坂のジャズバー・コーナーポ
ケットに通い、やがて店員として働くようになる。2001年に帰鹿。天文館でジャズバー・コーナーポケットを開店。
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