私が勤める三洲堂テーラーに、夏の帽子
を作りたいと女性のお客さまが来店され
たのは5月末のこと。「光沢のある茶系の
生地を使いたい」というお客さまに、私は
老舗ブランド「ランバン」の生地を用意した。
「すてき
!!
せっかくだから、共布でちょっ
としたお洋服もできないかしら」。
このひと言に私は深く動揺し、言葉では
表現できない感情に一人酔いしれていた。
不器用に帽子しか作れない私が、この店
の一員として、そして私の帽子が高級テーラ
ー・ファッションの一部として、一つの役割"
を与えられている。「うれしい」。
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歳にし
てようやく私にも人並みのいい役がまわっ
てきたようで、ただ素直に「うれしい」。
私は社長と相談の上、冷え性だというお
客さまに夏用のケープを提案した。納品当
日、お客さまは大変満足され、三面鏡の大
きな鏡の前で最高の笑顔を見せてくれた
撮影協力/三洲堂テーラー
[プロフィル]
鹿児島市出身。大学卒業後、
大手ゼネコンに勤務するかたわら、専門
学校で帽子作りを学び、30歳でオリジナ
ルブランド「HIMEO」を設立する。3年前
に帰郷し、現在は三洲堂テーラーで帽子
職人として活躍中。
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