2021年度
南日本文学賞は郷土の文芸振興を目的に1973年創設。
鹿児島県在住または出身者などの小説・評論、詩の中から最も優秀な作品に贈られます。
選考委員
選考委員の3氏が候補作の中から受賞作を決めます
又吉 栄喜 (またよし・えいき)
1947年、沖縄県浦添市生まれ。琉球大学を卒業後、浦添市役所に勤めながら小説を書き始め、「ジョージが射殺した猪」で77年度九州芸術祭文学賞最優秀作、80年「ギンネム屋敷」ですばる文学賞、96年「豚の報い」で芥川賞を受賞。「果報は海から」「人骨展示館」「呼び寄せる島」「漁師と歌姫」ほか。著作は英、仏、伊語にも翻訳されている。浦添市在住。
町田 康 (まちだ・こう)
1962年大阪府生まれ。97年に「くっすん大黒」でドゥマゴ文学賞、野間文芸新人賞、2000年「きれぎれ」で芥川賞、02年「権現の踊り子」で川端康成文学賞、05年「告白」で谷崎潤一郎賞など。詩人でもあり、01年に「土間の四十八滝」で萩原朔太郎賞を受賞。パンクバンド「汝、我が民に非ズ」のボーカルとしても活動する。静岡県在住。
三角 みづ紀 (みすみ・みづき)
1981年鹿児島市生まれ。東京造形大学在学中に現代詩手帖賞、2005年第1詩集「オウバアキル」で中原中也賞、06年刊「カナシヤル」で南日本文学賞と歴程新鋭賞。14年「隣人のいない部屋」で萩原朔太郎賞を史上最年少で受賞。朗読や作詞など多彩な表現に取り組み、16年4月から「南日詩壇」選者も務める。北海道在住。
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(詳報)南日本文学賞 小説・山田里奈さん(東京都)の「花と鋏」 詩・西原裕美さん(鹿児島市)の「心待ち」が受賞

(2022-03-06)
3年ぶりに公開された南日本文学賞の選考会=5日、鹿児島市のみなみホール
3年ぶりに公開された南日本文学賞の選考会=5日、鹿児島市のみなみホール
山田里奈さん(左)と西原裕美さん
山田里奈さん(左)と西原裕美さん
 2021年度南日本文学賞(南日本新聞社主催)の選考会が5日、鹿児島市の南日本新聞会館みなみホールであり、小説・文芸評論部門は東京都小金井市の山田里奈(本名・山田理奈)さん(34)=鹿児島市出身=の小説「花と鋏(はさみ)」、詩部門は鹿児島市の西原裕美(本名・西俣裕美)さん(28)の「心待ち」(16編)に決まった。

 1973年の創設から通算50回目で、選考会は3年ぶりに公開した。選考委員は、芥川賞作家の又吉栄喜、町田康の両氏と詩人の三角みづ紀氏。文学ファン約30人が見守る中、小説49編と評論1編、詩20編の計70編から絞られた小説3編、詩4編について、構成や情景・人物描写など批評した。

 山田さんの小説は、取り壊しが決まった祖父母の家を訪ね、過去と現在の自分を振り返る女性が主人公。「誰もが心に抱える、他者と共有しえない苦しみを描けている」「人物が魅力的で引き込まれた」と、3委員が一致して推した。

 西原さんの詩は「魂を鼓舞し、読者を一歩前に進める力がある」「人間存在や認知の不確かさを確実に表現している」と評価された。

 会場で見守った西原さんは「目の前で講評を聴くのは緊張したが、心の機微が伝わったという気持ちでうれしい」。

 東京の自宅で知らせを受けた山田さんは「故郷への思いを込めた作品で4度目の挑戦。諦めないで良かった」と語った。

 贈賞式は3月下旬、鹿児島市の南日本新聞会館である。
主催 南日本新聞社