時計 2020/06/11 04:30

即興の魅力発信、続く挑戦 「同じ空気の振動を音として共有する日 待ち遠しい」

ジャズピアニスト 松本圭使
 しっとりと聴かせる曲からアップテンポな曲まで幅広く演奏し観客を魅了する。ジャズピアニストとして鹿児島を拠点に全国で活躍。誰もが知る童謡も即興でクールでおしゃれなジャズへと生まれ変わらせる。アレンジは自由自在だ。

 「鹿児島の人に応援され今の自分がいる。同じ空気の振動を音として共有し、楽しんでもらえる日が待ち遠しい。今はオンラインで挑戦する時だと思って、ジャズの新たな発信方法を見つけたい」

 今年は新型コロナウイルスの影響でライブ演奏ができない苦しい日々が続く。それでも「家からでもできることは多い。今までにない方法でジャズを発信したい」と精力的に活動を続けている。

 薩摩川内市出身。3歳からピアノを始めた。ジャズに触れたのは17歳のとき。自ら作曲したポップスの曲に対し「ジャズのようだ」と言われ初めて聴いてみた。そこで出合ったのが巨匠ビル・エバンスの演奏。自由な精神に触れ引き込まれた。「やりたくなったらとことんやる性格」で、本場のジャズを学ぼうと19歳でニューヨークに渡った。

 1年半の留学から帰国。「地方から全国へ発信するパイオニアになりたい」と故郷鹿児島での活動を決意した。インターネットの普及も背中を押した。

 20代のころは「いかにして鹿児島から全国区で活躍するかを目標にしていた」という。30代となり「鹿児島に住んでいるからこそできることを」と考えた。そんな思いを形にしたのが、2017年から実行委員長として開催している「鹿児島ジャズフェスティバル」だ。3回目の昨年はのべ6万7000人を動員。国内最大級のイベントに成長した。

第2回鹿児島ジャズフェスティバルの様子=2018年、鹿児島市
第2回鹿児島ジャズフェスティバルの様子=2018年、鹿児島市
 フェスでは全国のプロ演奏家40人が出演し、街のあちこちでジャズが流れる。毎回異なる組み合わせで演奏するセッションが人気だ。「ジャズの本質は即興だと思っている。相手の演奏した音に反応しどう演奏するかを決める。それぞれの良さを引き出し、支え合うジャズは人間社会と似ている。鹿児島の人にもその魅力を感じてほしい」

 今年は9月開催の予定で、ライブ演奏を重視しつつ、コロナ下で進化したオンライン配信も活用する。「ライブ映像を見て鹿児島を訪れたいと思う人が増えればうれしい」と期待する。

 後進の育成にも力を入れる。鹿児島大学ジャズバンド部に向け毎月セミナーを開く。コロナの影響で3月から休止しているが、後輩が練習できるようカラオケバージョンの音源作りも進める。

 フェイスブックでは毎週土曜にライブを開催し配信。「家にいることで知ったことも多い。コロナを経て音楽とのつきあい方が変わると思う」と語る。冒険者精神を忘れず、ジャズとともに道を切り開く。

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まつもと・けいし 1984年6月生まれ。薩摩川内市出身。2019年10月、3rdアルバム「WITHIN THE CROWD」を発売。MBCラジオ「MUSIC EXPRESS」で毎週水曜に「JAZZ LABO」のコーナーを務める。