演劇文化普及目指し奮闘 「まずは見に来てほしい。きっと衝撃を受けますよ」

劇団「鳴かず飛ばず」 米田翔太
 2020/12/24 04:30
 太くかいた眉毛がトレードマーク。締めのせりふは「んだもしたん!」。薩摩の偉人を紹介する現代風歴史演劇で西郷隆盛を演じている。マウスシールドを付けながら鹿児島弁丸出しの熱血演技で、維新ふるさと館(鹿児島市)に集まった観客の笑いを誘う。

 同館の歴史演劇は、志學館大学在学中に自ら立ち上げ主宰を務める劇団「鳴かず飛ばず」など、市内の複数の劇団で昨年8月に結成した「維新伝心隊」が担っている。元々は2014年から始まった明治維新150年カウントダウン事業の一環。「実は鈴木亮平さんよりも長く西郷さんを演じているんですよね」と話し「大河ドラマ『西郷どん』のオーディションにも参加したけど西郷感が強すぎると審査員に言われた」とおおらかに笑う。

 鹿児島市出身。幼稚園や小学生の頃から、お遊戯会や学芸会で燃えるタイプだった。中学3年の文化祭で劇の脚本、演出を担当し演劇に目覚めると、鹿児島南高校で没頭した。大学卒業後、就職して稽古に通う日々を過ごしたが、演劇人として生きる決断をし25歳で退社。現在は劇団の活動や演技指導のほか、リポーターとして地元テレビに出演する。「土地勘と歴史に親しみのある故郷で劇をしたかった。演劇文化を広め、楽しんでもらえる土壌を作りたい」と奮闘する。

 新型コロナ禍では無力感を味わった。リモート配信ができないか試してみたが「演劇はその空間に入らないと楽しめない。これまでずっと心を込めて作ってきたものを真っ向から否定されたような感じ」と肩を落とす。「この状況で何をしたら楽しんでもらえるのか。劇場に人を呼ぶことで成り立つ演劇特有の在り方をどう考えるか。自分なりの答えを探している最中」と頭を悩ます。

 ただ「演劇をもう一度見つめ直すきっかけになった」とも話す。8月、維新ふるさと館で約半年ぶりに開いた「維新伝心隊」の舞台はうれしさでいっぱいだった。「コロナ以前は、誰もが気軽にお芝居を楽しめる日常を目指していたのに、それどころではなくなった。まずは日常を取り戻してから、演劇に足を運んでもらえるよう頑張りたい」と力を込める。

「維新伝心隊」による維新演劇シアター=11月29日、鹿児島市の維新ふるさと館
「維新伝心隊」による維新演劇シアター=11月29日、鹿児島市の維新ふるさと館
 劇団「鳴かず飛ばず」は来年5月に15周年を迎える。「鹿児島の演劇界はまだ発展の余地がある。コンスタントに公演ができる会場を作り、お芝居を見せることができたらいい」と期待する。

 演劇の面白さはあらゆる芸術の中で情報量が一番多いところだという。「役者は一人一人がキャラクターの人生をつくり上げ、それを観客にぶつけている。役者も観客からの反応を直接受け取る。そんなやりとりが魅力でだいご味」と強調する。「まずは見に来てほしい。きっと衝撃を受けますよ」

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 よねだ・しょうた 1985年、鹿児島市生まれ。志學館大学在学中の2006年に劇団「鳴かず飛ばず」を立ち上げ、現在も主宰。西郷隆盛を演じている「維新伝心隊」の公演は27日、21年1月2、3日午後0時半〜1時に鹿児島市の維新ふるさと館である。