時計 2021/01/01 04:36

【新春特別号】日本を笑わせたい

お笑いコンビ「コウテイ」 下田真生
 深紅の立て襟スーツに身を包み、わずか4分間のステージにボケとツッコミを絶え間なく詰め込む。若手芸人がしのぎを削る大阪市のよしもと漫才劇場。「とにかくスピード感のある笑いを走り切りたい」と話すように、観客を登場の瞬間から笑いの渦に巻き込む。出水市出身の下田真生のダイナミックなボケと、相方九条ジョー=滋賀県出身=の自由奔放なツッコミが特徴のコンビ・コウテイは、「お笑い第7世代」の一員だ。

 新型コロナウイルスの影響を受け、同劇場は昨年2月から6月初旬まで休業を余儀なくされた。自粛期間中、何をすれば話題になるか考えた結果「モールス信号を覚えた!」。昨年7月には、積み重ねた努力が実り、若手芸人の登竜門と呼ばれる「ABCお笑いグランプリ」で優勝。ダウンタウンや千鳥、霜降り明星などの芸人が勝ち抜いてきた大会。「箔(はく)と実績がついた。相方の九条とやっていける証明にもなった」と喜ぶ。

 出水工業高校出身。卒業までの18年間を過ごした出水市には思い出があふれている。小学校2年のときの「1分間スピーチ」がお笑いの原点。「ボケたら同級生から笑ってもらえた。それからずっといちずに芸人を目指した。ネタを考えることがただ楽しい」と話す。「大切な思い出ばかりで一番は決められない」としつつ「高校の文化祭で友達と漫才した。2011年にハイスクール漫才の予選で優勝したこともいい思い出」と振り返る。

 高校卒業後、吉本総合芸能学院(NSC)大阪校へ入学。クラスと住んでいたアパートが同じだった九条とコンビを結成した。2回もの解散を経験したが、「今はネタ以外でのけんかはしない。そんな時間はない」とお笑いに全集中している。コンビ名の「コウテイ」は結成当時、約20センチもあった二人の身長の“高低”差から名付けた。

 大阪に拠点を移してからは「なじみたくて関西弁を覚えた。鹿児島弁は捨てた」と笑う。「2、3年かかったし、今でも違和感があると言われる」。九条は「猿。最近はちょっと人間に近づいてオランウータン」と手厳しい印象を明かすが「人を笑わせたいという思いを一番出している」とも認める。

コウテイの下田真生(左)と相方の九条ジョー=11月21日、大阪市中央区
コウテイの下田真生(左)と相方の九条ジョー=11月21日、大阪市中央区
 「自分は何があっても笑ってもらえるタイプ。舞台でぎっくり腰になったときも観客を笑顔にした」と自信たっぷり。「芸人が心配されても意味がない。スタンガンを当てられても、ワニにかまれてもまずは笑ってもらえる。そういう人間でありたい」。目指すのは、幼い頃からテレビで見て憧れた志村けんさん。大きな動きとリアクション、さまざまな表情で観客の笑いを貪欲に求める。

 2021年の目標は、古里鹿児島での凱旋(がいせん)公演。しばらく帰っておらず「一番は仕事で帰りたい。見てもらうだけでうれしいと思う」。一方、「僕らのスピード感ある漫才では、年配の観客がついてこれないかも」と真面目に心配。「誰もが笑える力をつけるため、これからいろんな芸を身に付けることが課題」とさらなる飛躍を誓った。

 「コロナ禍で大変ですが、コウテイもきばっで、あんたたちもきばいやんせ! ほんならな!」。鹿児島弁と大阪弁の入り交じった不思議な言葉で古里を鼓舞し次の舞台へ向かった。

☆☆☆
 しもだ・まさき 1993年、出水市出身。出水工業高校卒業後、吉本総合芸能学院に入った。2013年に九条ジョーと漫才コンビ「コウテイ」を結成。第41回ABCお笑いグランプリ優勝。M1グランプリ2020準決勝進出。