時代超えるメッセージを 「“歌あしび”の原点の地、古里奄美に帰りたい」

歌手 城南海
 2021/01/21 04:30
 「自分らしさを生かして、どんな時代に聴いても共感してもらえるようなメッセージを発信したい」。心に響く歌声は、奄美島唄特有のこぶしをきかせた歌唱法「グイン」で輝きを増す。ディズニー実写映画「ムーラン」の日本語版主題歌を担い、歌詞の翻訳にも携わった。ほかにも、ラジオやミュージカルなど活躍の場を広げている。
※写真は提供してもらいました
※写真は提供してもらいました

 1989年生まれ。名瀬市(現奄美市)から徳之島、鹿児島市へと移り住んだ。島唄を歌い始めたのは、中学生のときで、鹿児島市に住み始めてから。年の離れた兄が経営するバーで、奄美出身の客から教わった。3歳からピアノを弾くなど音楽に親しんでいたため、三線を使った弾き語りにもすぐになじんだ。島唄の難しい歌詞や曲の背景にある歴史は、奄美を離れてからより一層興味が湧き、自然と学ぶことができたという。「島唄はもともと楽譜がなく、即興で歌い合う“歌あしび”として受け継がれてきた。そういった意味では伝統的な“遊び”の形で学んできた」と振り返る。

 高校2年生だった2006年、鹿児島市であったオーディションでスカウトされた。その後、東京の大学に進学し、在学中の09年1月、「アイツムギ」でデビュー。同年8月には、自らが歌う「あさなゆうな」が、目標にしていた「NHKみんなのうた」で放送された。音楽活動を始める前は保育士になりたかったこともあり、大学では保育を専攻。「デビュー後は子どもたちと触れ合う機会が減った。子ども向けの歌を通してつながることができ感慨深かった」と話す。

配信ライブで歌う城南海(右)=2020年7月20日(提供写真)
配信ライブで歌う城南海(右)=2020年7月20日(提供写真)
 昨春公開予定だった「ムーラン」は新型コロナの影響で配信上映のみとなり、夏の全国ツアーも中止に。「ファンの皆さんと会うこともできなくなるとは」と肩を落とすが、昨年7、12月には配信ライブなど新しい取り組みにも挑戦した。そのチケット代の一部は、コロナ禍で苦しんでいる子どもたちの力になればと、「セーブ・ザ・チルドレン」に寄付した。

 27日に10枚目のアルバム「Reflections」をリリースする。「ムーラン」の日本語版主題歌のほか、オリジナル楽曲「産声」、配信ライブで披露した「君だけのメロディー」など10曲が収められている。「力まずに自然と生まれてきた作品たち。自分の好きな曲を面白く歌えた」と笑顔を見せる。

 コロナ禍では「観客を前に生演奏がしたい」と感じた。収束後は「配信ライブと生演奏の両方の良さを生かした活動ができれば」と力を込める。外出自粛の日々が続いただけに「古里奄美に帰りたい」との思いも募る。「“歌あしび”の原点の地。今はコロナで歌い合うのは難しくても、この伝統文化がいつまでも続いてほしい。一緒に乗り越えていきましょう」と呼び掛けた。

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 きずき・みなみ 1989年、奄美市生まれ。鹿児島市に移り住んでから島唄を歌い始める。27日に新アルバム「Reflections」をリリース。9月4日には同郷の元ちとせや中孝介とともに「『奄美の風』プレミアムコンサート」が鹿児島市の川商ホールで予定されている。