コロナ禍も「進み続ける」 「聴いた人が主役になれるよう表現したい」

歌手 西田あい
 2021/02/11 04:30
 豊かな表情と柔らかな歌声を武器に昭和歌謡を歌い継ぐ。「いろんな人の手助けがあって今がある。縁を大事に、恩返しできるよう歌い続けたい」。ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」の画面上で歌と古里への思いを熱く語った。

※写真は提供してもらいました
※写真は提供してもらいました
 自他共に認めるポジティブさで芸能活動を続けてきたが、新型コロナ禍で外出自粛が続いたときは気持ちが落ち込んだ。できることや面白いことはないかと考え、昨年6〜12月には、毎週日曜に動画配信サイトユーチューブで配信ライブも実施。9年ぶりにギターも演奏したという。1月には鹿児島でライブを開催する予定だったが、首都圏を中心に発令された2度目の緊急事態宣言を受け中止に。それでも「何らかの形で進み続けていきたい。止まりたくない」と強い気持ちで活動を模索する。

 1988年生まれ、姶良市蒲生出身。物心ついた頃からテレビに映る歌手やアイドルに憧れていたが「簡単には実現しないと幼心に思っていた」。英語を勉強しようと、中学校卒業後にニュージーランドへ留学。現地でさまざまなことに挑戦する人たちと出会い、自分も諦めてはいけないと歌の道へ進むことを決意した。

 入校した平尾昌晃ミュージックスクール鹿児島校で「声が歌謡曲向き」と言われ初めて歌謡曲を聴いた。「洋楽を聴くことが多く、歌謡曲の概念すら知らなかった。演歌と同じかと思っていた」と明かす。しかし山口百恵や中森明菜らが歌う“ロック歌謡”に触れ「かっこいい」と夢中になった。2010年「ゆれて遠花火」でデビュー。ユーチューブにチャンネルを開設するなど活動を広げる。

 歌謡曲について「2、3分の歌で1本の映画を見るような感覚」と説明する。「シンガー・ソングライターと違い自分を出し過ぎてはいけないが、感情を込めないと伝わらない。バランスが難しい」。故平尾昌晃さんからは「『ヒロインになる』ではなく『ヒロインにする』ように指導を受けた」という。「自分ではなく歌を聴いた人が主役になれるよう表現したい」と試行錯誤を繰り返す。

ライブハウスで歌を披露する西田あい=2020年2月19日
ライブハウスで歌を披露する西田あい=2020年2月19日
 昨年7月にデビュー10周年を迎えた。記念シングル「My Story」はオリコン週間シングルランキング(演歌・歌謡部門)で20年3月第1週に自身初の1位となった。3月3日にリリースする新曲「幸せ日記」では作詞に挑戦。「コロナ禍で感じたことやメッセージを伝えられたらいい。早く届けたい」と笑う。

 古里へ帰れない日々が続く。「九州の甘い味が恋しい。温泉にも入りたいし大好きな焼酎も飲みたい」。一方で「鹿児島の人は他人を思いやる気持ちがどこよりも強い。不安を感じる世の中で支え合っていけるはず」とも。「薩摩の熱いパワーで前向きに進んでいきましょう」と力を込めた。

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 にしだ・あい 1988年生まれ、姶良市出身。2010年7月に「ゆれて遠花火」でデビュー。これまでにシングルを9枚、アルバムを2枚発表した。3月3日に初めて作詞に挑戦した新曲「幸せ日記」をリリースする。2018年から薩摩大使を務めた。