2021/06/03 04:30

ラジオでの発信 実結ぶ 「いつでも準備OKの心意気なら、チャンスはつかめます」

ドゥーワップ・シンガー ジミー入枝
 鹿児島から30年以上、ドゥーワップを発信し続ける。1950〜60年代の米国発祥で、リズム&ブルースとロックを軸にしたコーラスサウンド。「ドゥワ、ドゥワ」といった独特の合いの手が特長だ。イベントやブライダル、パーティーなど、多いときで月に30を超すステージを務めた。だが新型コロナウイルスの感染拡大で依頼は激減。苦境に立つ中、ラジオの仕事が心の支えになった。「日常が戻った時、イベントで待ち焦がれる人を増やしたい。今はそのために、しっかりラジオで発信する」と力を込める。

ジミー入枝
ジミー入枝
 ドゥーワップとの出会いは、中学の時に手にした「ザ・キングトーンズ」のレコードだった。魅了され、高校に入ってリーダー・内田正人に入門、遠距離での指導を受けた。95年、大学を卒業し上京。付き人修業を積んで97年帰鹿し、地元でキャリアを重ねた。2004年に内田が病に倒れた際は、代演で“本家”のリードボーカルを担当。フジロックフェスティバルなどの大舞台も経験した。

 転機は11年。前年の口蹄疫(こうていえき)に続き、東日本大震災の影響で仕事が激減した。失意に襲われる中、南日本放送(MBC)ラジオの数々の番組に励まされた。「自分もラジオに関わって人を励ませれば」。12年秋からMBCラジオで制作スタッフとして働き始め、少しずつチャンスをつかんでいった。今は冠番組や週1回の生放送番組のパーソナリティーも担当する。

 放送に臨む気構えは「エブリタイム スタンバイOK」。チャンスを見極め、いざというときためらわず全力投球するためだ。その気持ちが、昨秋大きく結実した。とんねるず・木梨憲武のラジオ番組への生出演。それを機に、昨年末のイベント「TBSラジオpresents 木梨の大音楽会。フェスってゆー!!」で、地方アーティストでは唯一抜てきされた。さらに木梨とのデュエットで、キングトーンズの代表曲「グッドナイト・ベイビー」を披露した。「ラジオの仕事を丁寧にやってきたことが、人生最高のステージへとつながった。コロナ下でも夢のような経験ができると多くの人に伝われば」と、感慨深げに振り返る。
MBC内の展望スタジオでマイクに向かうジミー入枝=鹿児島市高麗町(MBC提供)
MBC内の展望スタジオでマイクに向かうジミー入枝=鹿児島市高麗町(MBC提供)

 正直言えば、コロナで歌手活動が制限されるのは苦しくて仕方ない。このままでいいのかと、不安に思うこともある。ただ、ラジオに携われることには感謝している、という。「今はラジオを頑張るときだ」。自分に言い聞かせている。

 芸能の世界に身を置く人間として、芸事全般を極めたいと考えてきた。ただ40歳を過ぎMBCで働く中で、新たな抱負ができた。それは「人気者になること」だ。他者に担がれないとなれない存在。そうなれるよう「今できることを頑張る。いつか力を存分に発揮する日々は戻る」と先を見据えた。

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 じみー・いりえだ 1972年、いちき串木野市出身。鹿児島大水産学部卒。「ザ・キングトーンズ」でドゥーワップを学び、鹿児島から発信し続けている。「ジミー入枝とザ・キングタウンズ」など主宰。
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