「万一」備え 日常大事に 「ラジオは命を守る優しい存在であるべきだ」

エフエムかごしまアナウンサー 今末 真人さん
 2021/06/24 04:30
 東日本大震災や熊本地震を経て、被害や安否情報を伝えるラジオは存在感を増している。「万一の時にいかに信頼されるか。日頃から意識している」。桜島をはじめ、放送エリアに活火山を抱えるエフエム鹿児島(鹿児島市)のアナウンサーとして責任感は強い。防災士の資格を持ち、不定期で年4回の防災番組も担当する。「ラジオは命を守る優しい存在であるべきだ」。リスナーの心のよりどころとなれるよう、思いを日々語り続ける。

 
リスナーの役に立つ情報を正確に楽しく伝えたいと話す今末真人さん=6月15日、鹿児島市のエフエム鹿児島スタジオ
リスナーの役に立つ情報を正確に楽しく伝えたいと話す今末真人さん=6月15日、鹿児島市のエフエム鹿児島スタジオ
小学5年生からラジオを聴き始め、自然とアナウンサーを志すようになった。大学時代は放送研究会に所属し、テレビ・ラジオ局への就職を目指した。しかし内定は得られず、2010年の大学卒業と同時に九州のある通信販売会社へ就職した。「とにかくしゃべる仕事がしたくて。通販番組に出演する機会があると思った」。だが商品を買い付ける部署などに配属され、司会進行役にはなれなかった。再びアナウンサーへの思いが強まり退社。14年にエフエム徳島(徳島市)へ入社し、念願の一歩を踏み出した。

 入社後、防災時のラジオの使命について考えるようになった。放送エリアは1995年の阪神大震災で被災。今後の南海トラフ巨大地震でも甚大な被害が見込まれたからだ。知識を高めようと、2015年に防災士の資格を取った。「ただ避難を呼びかけるだけでなく、専門知識に基づいた誘導ができると思う」

 18年、「地元でしゃべる魅力にあらがえず」エフエム鹿児島へ転職した。「方言が使えるから、街の雰囲気を肌感覚で理解できる」。より地元へ密着した放送をしたい、と意欲をのぞかせる。

 新型コロナウイルスの影響で、昨今はソーシャルディスタンス(社会的距離)が求められる。そんな中、距離を越えて人のぬくもりが伝わるラジオの良さを改めて実感している。「電波に乗って届く声は優しく聞こえるもの。目から入る情報がつらいとき、心の逃げ場にもなれるはずだ」。昨年、その思いを確認できた。コロナで外出自粛を余儀なくされた3月と5月、2回の特別番組を放送した。いずれも小中高生が主役。「リクエストもプレゼントも全力で“忖度(そんたく)”する」という、状況を面白がる番組構成にした。大胆に変えた発想が社内外から好評だったという。
リスナーに語りかけるように番組を進める今末真人さん=6月15日、鹿児島市のエフエム鹿児島スタジオ
リスナーに語りかけるように番組を進める今末真人さん=6月15日、鹿児島市のエフエム鹿児島スタジオ

 来年10月1日は開局30周年を迎える。社内で節目のプロジェクトを検討しており、10代の声を反映させる予定だ。現在、中高生モニターを同局ホームページで募集する。「若者と交流し新たな企画、番組が生まれるきっかけになれば」

 自然災害やコロナは、予期できない上に日常を大きく変える。だからこそラジオは優しく変わらずにいたい、と話す。「しんどい時こそラジオを頼ってほしい。常にリスナーに寄り添う役目を果たしたい」。熱っぽく言葉に力を込めた。

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 いますえ・まこと 1987年、姶良市出身。鹿児島玉龍高、愛媛大を卒業し、他社を経て2018年エフエム鹿児島入社。同社放送部所属のアナウンサー。