自ら動き「不自由突破」 音を生む楽しさは何物にも代え難い

DJ兼スタジオ代表 大山 広行さん
 2021/09/30 04:30
 「DJ OYM(オーヤン)」名義で、地元鹿児島を拠点に国内外の音楽イベントへ参加する。エレクトロニック・ダンス・ミュージック、Kポップなどを中心に、多彩なジャンルの音を操り観客を沸かしてきた。客の反応や場の空気を読み取って選曲するため、イベントに出たら頭の中は常にフル回転だ。備えとして毎日の最新曲チェックは欠かせない。それでも「その場所、その時だけしかない音を生む楽しさは何物にも代え難い」。新型コロナウイルス禍でステージこそ減ったが、表情は輝いて見える。

 DJを志したのは、バブル期だった20歳のころ。友人に誘われ通い詰めていた鹿児島市内のディスコで、トークを交え華やかな空間を演出する技術に魅せられた。1990年に上京。DJの聖地とされる六本木などでプレーし、キャリアを積んだ。2000年ごろからは韓国や台湾、中国でも公演するようになった。

 06年に拠点を鹿児島へ移し、海外へ自己PRするため、会員制交流サイト(SNS)でDJミックス曲を投稿し始めた。16年からは鹿児島シティエフエムのパーソナリティーとしても活動。ダンスミュージック中心の「K―REMIX」を毎週水曜放送するなど、活動の幅を広げた。今では実力が国内外で知られるように。20、21年はアジア圏上位の25人を決める「EDMDROID ASIA’S TOP 25DJS」にノミネートされた。

 順調だった活動に影を落としたのが新型コロナウイルス。公演が急減し、音楽は不要不急の存在と思われていると感じた。「自分が今までやってきたことを否定されたようだった」。活動をどうやって続けるか試行錯誤の日々を送り、やがて思い直した。「先が見通せないなら、今できることをやり続けよう。活動する場がないなら自分で作ろう」。若者から「DJになりたいが、何から始めればいいか分からない」という声を聞いていた事もあり、覚悟を決めた。

 
受講生に細かく指導する大山広行さん=鹿児島市東千石町のstudio KDJ
受講生に細かく指導する大山広行さん=鹿児島市東千石町のstudio KDJ
今年8月、コロナ対策で収入が減った事業者向けの持続化給付金も活用し、鹿児島市にDJスクール兼配信スタジオ「studio KDJ」を立ち上げた。約26平方㍍の部屋にあるのは世界水準の機材。プロ向けの動画撮影や写真撮影も可能だ。自身は代表として運営に携わるほか、講師として後進を指導する。

 「フェスやクラブといった多人数の前で、空間を操る醍醐味(だいごみ)は格別」。今は難しいかもしれないが、いつかはコロナ禍の不自由さが突破できる、と信じている。「USBメモリーにソフトと曲さえ入れ込めばDJは世界中どこでもでき、音楽は言葉を越えて共有できる。自ら動く気構えを持ち続け、夢を持って羽ばたいていく後進を育てたい」。前向きな言葉に力を込めた。

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 おおやま・ひろゆき 1968年、鹿児島市出身。2020年、21年配信のDJ MIXアルバムが好評を博し、今後も発売を予定している。studio KDJホームページ=https://studio‐kdj.com/