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 ぱっと見にはどちらも初々しいが、就職活動中の大学生と新入社員を見分けるこつがあるという。一つはかばん、それと首に掛けたひもだ。都内の企業で人事を担当している知人から聞いた。

 学生はきちんとした手提げを携え、新人は小回りの利くリュックサックを重宝がる。ひもには大抵、社屋の出入りに使う社員証が下がっている。通勤電車内を見回すと、あながち的外れではなさそうだ。

 主要企業の会社説明会が解禁されて1カ月半が過ぎた。筆記試験や面接を経て、6月にも内定が出始めるのが相場だが、今年は動きが早いらしい。既に内定率が20%に迫るとのデータもある。

 就活前に就業を体験するインターンシップを足掛かりに、企業側の囲い込みが激しくなっているのが一因と聞く。知り合いの学生は面接で、就業体験に参加しなかった理由をしきりに問われたという。「内定をもらった友人と比べると経験の差は大きかった」と悔しがる。

 学生優位の売り手市場で内定を早く出したいのが企業の本音だろう。ただ、一生の仕事なら、じっくり選ぶ時間も欲しい。早々とふるいに掛けられる学生は気の毒だ。

 「雨の日には/雨の中を/風の日には/風の中を」。書家で詩人の相田みつをさんの言葉だ。現状を受け入れて前へ進めとのアドバイスだろう。就職戦線はまだ続く。リュック姿がよく似合う日がきっと来るはずだ。