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 「調査は迅速正確にして実用に適するものたるを要す」「調査の杜撰(ずさん)を改め、報告の正確を期し」。1916(大正5)年、第2次大隈重信内閣が出した「内閣訓令」である。

 統計の進歩改善に関する文面からは、国のデータがどれほど重要かが伝わってくる。大隈は明治政府が設立した「統計院」の初代院長も務めたが、統計の重さに気づくきっかけは地租改正だったという。

 江戸時代の石高による年貢制度から地価に応じた税制に切り替えるには、田畑の面積など正確な土地情報が欠かせなかった。税収が安定してこそ、必要な政策に計画的に予算が配分できると考えたのだろうか。

 古い話を持ち出したのはほかでもない。今国会の大きな焦点になった統計不正問題である。審議をみていると、大臣や官僚から危機意識が感じられない。日本政府の統計に対する国際的な信用性が揺らいでいるというのに。

 昨年の実質賃金の伸び率について「前年比0.2%増で2年ぶりのプラス」とする政府の発表に対し、野党は「マイナス0.4%になる」と独自の試算を公表した。真相があいまいでは、国民は何を信じたらいいのか。

 大隈の姿勢からうかがえるのは、日本を近代国家にふさわしい姿に変えようとする不退転の決意である。統計を重んじる態度は終生変わらなかったという。今こそ政府は、先達の爪のあかをせんじて飲むべきだ。