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 コアラはブー、ブーと鳴くそうだ。鹿児島市の平川動物公園で飼育係長や園長を務めた酒匂猛さんから教えてもらった。かわいらしい姿からは想像しにくいが、ブタみたいな声は雄のラブコールだという。

 そんなコアラが、ピーッ、ピーッと悲鳴のような声を上げる映像をこのところテレビやネットで見かける。人の差し出すペットボトルの水をむさぼるように飲んでいる。オーストラリアで続く大規模森林火災の現場である。

 火災は昨年9月ごろから猛威を振るっている。これまでに約30人が死亡し、北海道の面積を超える約1000万ヘクタールが焼失した。日本が国際緊急援助活動で派遣した航空自衛隊の輸送機も先週末現地入りした。

 一刻も早く消火してほしいが、日本と季節が正反対の南半球は今、真夏だ。しかも、普通の夏ではない。オーストラリアの気象庁によると昨年の平均気温は観測史上最も高く、平均降水量は過去最少だった。

 異常な高温と乾燥が火勢に拍車をかけている。現地に多いユーカリの葉は油分を多く含み、延焼の一因になっているらしい。一生をユーカリの森で過ごすコアラは逃げ場を失って炎や煙にさらされ、数万匹が焼死したともみられている。

 世界気象機関の調べで、昨年の世界の平均気温は観測史上2番目に高かった。それでも国際社会は温暖化防止に向けて一つになれずにいる。コアラの悲鳴が胸に痛い。