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 鹿屋市のスーパーの鮮魚売り場で「辺塚だいだいカンパチ」という名の刺し身が売られていた。肝付町の高山漁港直送とある。切り身の輝きが目を引いた。

 高山漁協が志布志湾の南側で養殖している。地元特産のダイダイを餌に混ぜて使っているため、生臭さはほとんど感じられず、すっきりとした味わいがある。刺し身が苦手な人でも意外といけるかもしれない。

 2年前から本格的に出荷を始め、都市部のレストランなどから引き合いも多かった。ところが、コロナ禍が直撃して外食産業が不振に陥り、めっきり取引が減ったという。養殖魚は出荷の調整が難しいので、たちまち余波を受けてしまう。

 カンパチに限らず県産魚介類の需要が低迷する中、県は「シーフードレスキュー」なるキャンペーンを始めた。小売店で販売を促進し、商品には調理法が載った特設サイトを見られるQRコードをつける。魚料理のコンテストも予定している。息の長い取り組みが必要だろう。

 県内は東シナ海、鹿児島湾、太平洋に面しており、海岸線の長さは全国3番目である。海の幸は多くの県民の暮らしを豊かにしてきたが、あまりに身近すぎて、ありがたさを忘れてしまいがちだ。

 高山漁協のカンパチのように、ひと味違う商品に仕上げた例もある。海の恵みをいただかないのはもったいない。今夜の食卓に県産の魚を一品添えてみてはいかが。