( 8/4 付 )

 入り口で手指をアルコール消毒し、検温を済ませて中に入る。鹿児島市のかごしま県民交流センターで開かれている鹿児島陶芸展を見に行った。

 明るく広々とした会場では、さまざまな質感の作品が造形美を競う。ほかの入場者との社会的距離を気にしながらゆっくりと回る。おかげで一つ一つの作品とじっくり向き合えるのはありがたい。

 繊細な模様と絶妙なバランスの姿形に足が止まった。創作部門で優秀賞に選ばれた上村秀一郎さんの「風の風景」である。これまでもたびたび入賞や入選を果たしている81歳。「伸びしろ十分。次作が楽しみ」という審査評に芸術の奥深さを知る思いだ。

 ダンベルに絵の具のチューブ、真空管。南日本新聞社賞の溝延高志さんの「元気が出る箸置き」を前に思わず笑みがこぼれた。細部の再現にこだわり、遊び心にあふれる。テーブルに並んでいたら会話が弾むだろう。

 「飲んどー」「集まれー」。食卓を彩る器を集めたテーマ部門の会場には楽しげなタイトルの作品が並ぶ。コロナ下でままならない大人数のにぎやかな宴が目に浮かんできた。

 宴会は控えていても、家族で食卓を囲む機会は増えている。隣り合う会場で初めて開かれている「さつま夏陶(かとう)マルシェ」では、そんなひとときを演出する薩摩焼が買える。マグカップから大皿まで、お気に入りの一品を選ぶだけでも心が潤う。6日まで。