( 8/14 付 )

 長編映画に挟む休憩を「インターミッション」と言う。最近はめったに見なくなったが、鹿児島より一足早く東京で封切られた「海辺の映画館 キネマの玉手箱」にその横文字が現れた。

 4月に肺がんで亡くなった大林宣彦監督による約3時間の大作だ。スポンサーとは2時間の契約だったが、試写を見たプロデューサーは「どこもカットできない」と編集を諦めたという。

 広島県尾道市にある映画館で戦争特集のスクリーンに観客が迷い込む仕掛けで進む。戊辰戦争から原爆投下前の広島まで“映像の魔術師”らしく自在に時空を飛び越え、めまぐるしい展開が続く。

 ただ、全編を貫く「戦争なんて嫌だ」というメッセージは力強く明快である。たびたび引用される中原中也の詩も印象深い。「人類の背後には、はや暗雲が密集してゐる/多くの人はまだそのことに気が付かぬ」。

 晩年、立て続けに戦争ものを手掛けた監督には、安全保障法制の成立などが軍靴の響きのように思えたのかもしれない。にわかに浮上してきた敵基地攻撃能力の保有を巡る議論はどう映るのかも聞いてみたかった。

 映画は休憩を挟まずに続いた。インターミッションは「区切り」の意味と受け止めた。終戦から75年になる。監督には次の世代に伝えておきたいことが、山ほどあったに違いない。死期を悟り、その思いを最後のメガホンに託したのだろうか。