( 8/15 付 )

 テンニンギクは、黄色く縁取られた濃い赤やオレンジの花びらがかわいらしい。喜界島では春から夏が見頃で、旧海軍の特攻隊中継基地があった場所に咲くことから「特攻花」と呼ばれる。

 福岡県筑前町の大刀洗平和記念館で、特攻花の絵画展が開かれている。東京の画家横山忠正さんが、島の海や砂浜を背景に30点全てを一輪挿しで描いた。同じ構図だが、一つとして同じ花はない細やかな色遣いだ。

 中央に飾られた特攻服を見守るように絵は並ぶ。隊員一人一人の心情を模し、美しさの中に悲しみをたたえているように見えた。戦時下の島を紹介する資料も展示され、戦争の悲劇を静かに伝える。

 館の敷地にあったのは、かつて東洋一と言われた旧陸軍大刀洗飛行場である。多くの若者がこの地を経由し、知覧や万世などから沖縄方面に出撃し散っていった。こうした歴史もあり、同館は昨年、知覧、万世の特攻記念館と研究協定を結んだ。

 遺書や手紙など劣化しやすい紙類の保存は3館共通の悩みで、貴重な資料を未来に残そうと知恵を絞り合う。今夏は初の合同パネル展も開き、結びつきはさらに深まった。無謀極まりない特攻作戦の研究が進むのを待ちたい。

 終戦からきょうでちょうど75年。時がたつごとに記念館の役割は重要になる。細かい文字でつづられた手紙や出撃直前の笑顔の写真はさまざまなことを語りかけてくる。