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 戦前に建てられたとは知らなかった。鹿児島市荒田にある県知事公舎である。築80年が経過し、九州で最も古いそうだ。先日、前を通りかかると、真新しい表札が目に入った。グレーの石に「塩田康一」と刻まれていた。

 4年前に就任した前知事は名前を入れた表札を掲げなかった。防犯に配慮したのだろう。代わりにつるつるの石がはめ込まれていた。ささいな変化だが、あるじの交代を印象づけた。

 県庁の知事室にも、ちょっとした異変があるらしい。前知事時代は閉じられていることが多かったガラスのドアが開放されるようになったという。公約に掲げた「透明で開かれた県政運営」の小さな一歩とも映る。

 塩田知事が就任してまもなく1カ月がたつ。新型コロナウイルスの影響で延期された鹿児島国体を巡り、就任早々に佐賀県知事と面会して協力を求め、23年開催へ大きく前進させた。幸先のいいスタートである。

 「期待膨らむ行動力」。本紙ひろば欄には「塩田丸」の船出を評価する投稿が目立つ。米国では、新政権発足から100日間を「ハネムーン期間」と呼ぶから、好意的な見方が多いのは自然なことかもしれない。

 一方、政権の方向性が決まる大事な100日間ともいわれる。27日には県議会臨時会が開会する。県民には耳の痛い話であっても、丁寧に説明する姿勢を見せてこそ、トップ交代を印象づけられよう。