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 長寿アニメ「サザエさん」に漂う昭和の薫りは小道具による効果が大きい。八百屋で品定めする登場人物が提げる買い物かごもその一つだ。

 平成になると、すっかり影を潜め、代わりに使い捨てのレジ袋が主役となる。しかし、今再び買い物かごの現代版である「マイバッグ」が重宝される。プラスチックごみを減らそうと、先月から義務付けられたレジ袋有料化が後押しする。

 スーパーで老いも若きもさまざまなデザインの袋を出し、商品を詰める姿が珍しくなくなった。コンビニ大手3社でもレジ袋を辞退する人が以前より大幅に増えているという。

 一方で、マイバッグを使った万引が問題になっているのは残念だ。商品の隠し場所として悪用が広まれば、持つのもためらわれる。精算が済むまでは袋を開かないといった自衛策が求められる社会はいただけない。

 インターネット上に飛び交う「レジ圧」なる造語も気に掛かる。袋詰めに不慣れで、待つ人から無言の圧力を感じることを指す。ただでさえ、コロナ下の感染対策のため慣れないキャッシュレスで支払おうとすれば、行列ができがちだ。

 万引は論外としても、レジ圧がレジ袋回帰の流れをつくってしまわないか心配だ。サザエさんの昭和の風景のように、おおらかな気持ちで買い物を楽しめないものか。カラフルなデザインのマイバッグが令和の風景として根付くために。