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 東京・お台場の障害者専用体育館「パラアリーナ」は、東京パラリンピックを目指す選手らの貴重な練習拠点だった。先日訪ねると、駐車場に長屋のプレハブ14棟が立ち並び、すっかり様変わりしていた。

 日本財団が整備した新型コロナウイルスの軽症者向け療養施設である。病床逼迫(ひっぱく)に備え、先に転用したアリーナの内部と合わせ250床に増やした。ただ、選手にとっていつ利用を再開できるか見通せないというのはどうか。

 完全バリアフリーのアリーナは2年前に完成し、車いすのバスケットボールやラグビー、ボッチャなどに重宝された。練習の場を失った各競技団体は代わりを確保するのに苦労したという。

 東京パラリンピックの開幕まで1年を切った。開催に悲観的な見方もあり、共同通信のアンケートでは選手の7割超が競技の継続に不安を感じたと答えた。感染や練習環境、活動資金と悩みの種を挙げれば切りがない。

 何より恐れるのは障害者への偏見や差別をなくすかけがえのない機会を失うことだ。コロナ禍でかすみがちだが、共生社会の実現を目指すという大会の理念を忘れてはならない。

 「競技力を向上できる」などの理由から、選手の6割が1年延期を前向きに捉えているのは頼もしい。自国開催に懸ける強い思いの表れに違いない。コロナ禍の収束を願いつつ、選手たちのひたむきな努力に思いを致したい。