( 9/1 付 )

 テーブルを真ん中で隔てる透明のアクリル板を挟んで乾杯-。新型コロナウイルスの集団感染を乗り越えた与論町で再開した居酒屋の様子が本紙で紹介されていた。コロナ以前は想像もできなかった光景である。

 今や飛沫(ひまつ)防止対策としてビニールシートと並んで欠かせない。スーパーのレジや図書館のカウンターなどあちこちで見かけるようになった。違和感はすっかり薄れ、仕切りがないと不安に感じることさえある。

 早くから仕切りが必要とされながら、なかなか普及しない場所もある。災害時の避難所だ。学校の体育館などで雑魚寝している様子を見ると、プライバシーや快適性などは二の次なのかと残念に思う。

 そんな避難所に変化の兆しがうかがえる。熊本県を中心に甚大な被害をもたらした7月の豪雨災害では、ついたてなどを設置したり、収容人数を大幅に減らしたりする自治体が相次いだ。ただ、こうした変化はコロナ対策に重点を置いた結果である。

 戦後最大の都市災害となった阪神大震災は、仮設住宅の在り方を見直すきっかけになった。当時はトイレと風呂が一体で、エアコンもない「必要最低限」の仮設が一般的だったが、居住性も配慮する方向へとかじが切られた。

 きょうは防災の日。コロナ下の「3密」対策が、少々の不自由は我慢するのが当たり前という避難所の従来の常識に風穴を開けるかもしれない。