( 9/2 付 )

 ニンニクにニガウリ、うなぎ、梅干し…。暦の上では秋になっても厳しい暑さが続くと、こんな食べ物が欲しくなる。夏バテ気味の人も少なくないのではないか。

 暑さを乗り切るために、奄美の人々が好むのがミキである。伝統的な発酵飲料で、ヨーグルトのように甘酸っぱく、おかゆに似てとろっとしている。植物性の乳酸菌が豊富で栄養価が高く、食欲がない時は、ご飯代わりにする人も珍しくない。

 米粉を大鍋で煮て冷ます。サツマイモをすりおろした搾り汁を加え、別の器に移して寝かせる-。幕末の薩摩藩士・名越左源太が書き残した「南島雑話」は、発祥とみられる作り方をこう紹介する。現代との大きな違いは白糖を混ぜない点ぐらいだろう。

 ミキは神酒とも書き、もともと豊年祭や旧暦8月の節行事などの時に作られ、家庭の味としても親しまれてきた。日がたつと発酵が進み酸っぱさが増すので、10日前後置いて好みの味になってから楽しむ人もいる。

 手間暇がかかるからだろうか、近年は自家製は減り、市販品を求める人が増えているようだ。奄美大島では5社ほどが紙パックやペットボトルなどで販売し、夏場は売り上げが冬の10倍に上る社もあるという。

 <道に干す漁網の匂ひ秋暑し 小路紫峡>。残暑に追い打ちをかけるかのように台風9号が東シナ海を北へ進んでいる。たとえ夏バテ気味でも気を抜けない。